2011 Fiscal Year Research-status Report
ソラフェニブ誘発性肝障害における早期予測マーカーの探索
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23790169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 東北大学, 大学病院, 助教 (50588978)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 抗がん剤 |
Research Abstract |
本研究では、細胞毒性発現とソラフェニブ未変化体及び代謝物の動態プロファイルとの関連性を明らかにし、ソラフェニブ投与時に生じる肝障害の早期予測マーカーの探索を目的としている。まず、ソラフェニブ、及びその主代謝物であるソラフェニブN-オキサイドをヒト肝臓がん由来細胞HepG2細胞へ添加し、24, 48時間培養後の細胞生存率をMTT assay法で測定した。その結果、HepG2細胞に対するソラフェニブのEC50は、24時間後で5.56μg/mL,48時間後で5.17μg/mLであった。一方、HepG2細胞に対するソラフェニブN-オキサイドのEC50は、24時間後で3.76μg/mL,48時間後で2.25μg/mLであった。さらに、Huh7細胞についても同様の検討を行ったところ、Huh7細胞に対するソラフェニブのEC50は、24時間後で9.65μg/mL,48時間後で8.69μg/mLであった。一方、Huh7細胞に対するソラフェニブN-オキサイドのEC50は、24時間後で12.04μg/mL,48時間後で10.08μg/mLであったさらに、細胞障害の検討を、LDH assayにより行った。その結果、HepG2細胞へソラフェニブを暴露させたときのLDHの産生はHuh7細胞と比較して強かった。これらの結果より、ソラフェニブによる細胞毒性は、Huh7細胞と比較して、HepG2細胞において強く発現することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いたソラフェニブの細胞障害発現条件の検討は概ね良好といえる。HPLCを用いた細胞内外におけるソラフェニブの動態プロファイルの解析については、測定系を再構築し、現在進行している段階である。さらに、アデノウイルスを用いた薬物代謝酵素量の発現に伴う動態プロファイルと毒性との関連精査は、CYP3A4発現アデノウイルスベクターの作成に取り掛かっており、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に引き続き培養細胞を用いて、細胞内外のソラフェニブ及びソラフェニブN-オキサイドの濃度を測定し、ソラフェニブによる細胞障害発現時の動態プロファイルを検討する。さらに、アデノウイルスベクターを用いて、培養細胞へCYP3A4を強制発現させた時の動態プロファイルについても検討する。次に、ソラフェニブ服用患者のソラフェニブ及びソラフェニブN-オキサイドの血中濃度測定を行う。加えて東北大学病院で使用されている診療支援システムをや病棟薬剤師と連携して、患者情報を収集する。これらのデータを基にして、ソラフェニブ動態プロファイルと患者情報から、肝障害の早期指標マーカーの探索を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、HPLCを用いた実験に必要な試薬とアデノウイルスベクターを作成するための費用を算出した。すなわち、LC用カラム(1本約4~5万円)やLC用有機溶媒等、さらに、初代培養肝細胞を使用した検討が重要であるため、初代培養肝細胞(1ロット約14万円)を培養するために必要な培地(1キット約3万円)を含めた経費である。
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