2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790176
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石田 和也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (90550509)
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Keywords | 薬物動態 / トランスポーター / 臨床試験 |
Research Abstract |
核酸類似構造を有するミゾリビンの免疫抑制作用は血中濃度と密接に関連するが、経口投与後の薬物血中濃度には極めて大きな個体差が存在する。ミゾリビンは生体内でほとんど代謝を受けず主に腎臓から排泄されるため、患者の腎機能が体内動態の変動要因と考えられてきた。一方近年、ミゾリビンの累積尿中排泄率にも大きな個体差があることが報告され、消化管吸収の不良が体内動態変動の別要因として認識されつつある。申請者は、培養ヒト腸上皮LS180細胞を用いた検討において、何らかの排出トランスポーターがミゾリビンの吸収障壁として機能しているとの知見を得ている。本研究では、ミゾリビンの排出トランスポーターを同定するとともに、健常成人およびミゾリビンを服用中の患者を対象とした臨床試験を実施し、ミゾリビンの消化管吸収率の個体差に及ぼす吸収・排出トランスポーターの遺伝的多型の影響などを検討することを目的とした。その結果、ミゾリビンが小腸上皮細胞の刷子縁膜側に発現している核酸トランスポーターであるconcentrative nucleoside transporter (CNT) 1およびCNT2の基質であることを明らかにした。また、非線形混合効果モデル (NONMEM) 法を用いてミゾリビンを服用中の患者に加え、健常成人にもミゾリビンの消化管吸収率に個体差が存在することを明らかにし、健常成人におけるミゾリビンの消化管吸収率の個体差にCNT1の遺伝的多型および食塩摂取量が一部関与していることを明らかにした。一方、排出トランスポーター発現膜ベシクルを用いた検討において、P-glycoprotein、Multidrug resistance-associated protein 4、およびbreast cancer resistance protein以外のトランスポーターがミゾリビンの排出に関与していると考えられた。
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