2011 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療に繋がる成長ホルモンによるCYP1A2の性特異的発現調節の分子的解明
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23790177
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
河崎 優希 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30432107)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | CYP1A2 / 遺伝子発現調節 / 性差 |
Research Abstract |
CYP1A2は、多くの医薬品の代謝を担う重要な肝臓特異的代謝酵素である。CYP1A2の発現には性差がみられ、薬毒物の体内動態の性差の一因と考えられるが、CYP1A2発現性差を規定する分子メカニズムの詳細は不明であった。平成23年度の研究では、CYP1A2の発現調節を担う遺伝子領域に着目し、結合転写因子の解析を進めた。その結果、以下の点が分かった。転写因子C/EBPαとFra1のマウスCyp1a2遺伝子5’上流領域への結合が明らかとなった。C/EBPα過剰発現初代培養肝細胞においてはCYP1A2 mRNA発現量は変化しなかったが、C/EBPα過剰発現およびTPA添加によりCYP1A2 mRNA発現量は減少した。これらのことから、TPAにより誘導されたFra1の活性化とC/EBPαとのヘテロダイマー形成によるCyp1a2発現調節の負の制御の可能性が考えられた。C/EBPαとFra1のヘテロダイマー形成については解析中である。今回解析した領域よりもさらに上流の遺伝子領域にも推定C/EBPα結合領域が複数箇所存在しており、それら推定領域への結合についても解析中である。C/EBPは肝臓で高発現しており、CYP1A2の肝特異的発現への寄与も考えられた。次年度は、成長ホルモンの性二形成分泌様式によるC/EBP、Fra1の活性変動および結合領域への結合変動を解析するとともにCyp1a2遺伝子性特異的発現に与える影響を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写因子C/EBPαとFra1のCyp1a2遺伝子5’-上流域への結合が明らかとなった。これら転写因子の活性化及び遺伝子領域への結合によるCyp1a2発現調節の可能性が示唆されたことから、研究はおおむね順調に進展している。C/EBPは成長ホルモンによる制御が報告されている転写因子であり、これら転写因子を介したCyp1a2遺伝子発現調節の性特異性に関しては、成長ホルモンの性二形成分泌様式に着目し平成24年度に解析の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、Cyp1a2遺伝子5’-上流域への結合が明らかとなったC/EBPαとFra1のヘテロダイマー形成を検証するとともに、さらなる遺伝子上流領域の解析も計画する。C/EBPαとFra1を介した発現調節の性特異性の検証を進める。成長ホルモンの性二形成分泌様式によるそれら発現調節の変動、細胞内シグナル伝達を解析することにより、Cyp1a2遺伝子性特異的発現調節の詳細を明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Cyp1a2遺伝子上流域への転写因子の結合解析のためにクロマチン免疫沈降ならびにゲルシフトアッセイを計画する。同定された転写因子ならびに遺伝子領域の転写活性に与える影響を解析するために、in vitro, in vivoレポーター遺伝子アッセイを計画する。また、それら解析のために実験用動物、細胞培養用試薬、遺伝子導入試薬、遺伝子発現解析試薬やホルモン類などが必要となる。
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