2011 Fiscal Year Research-status Report
成長に伴う腎薬物トランスポータの変動機構解明と薬物動態への影響
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23790182
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30359822)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 腎臓 / トランスポータ / 小児 / 薬物動態 |
Research Abstract |
本研究は発達過程における薬物トランスポータの変動と薬物動態に与える影響について明らかにすることを目的としている。本年度はラットをモデル動物として用い、腎薬物トランスポータ、特にアニオントランスポータの発現変動について明らかにした。発現量についてはmRNAをリアルタイムPCR法によって、タンパク発現量をWestern Blottingによって評価した。生後0日から生後2週齢までのラットでは、生後8週齢のラットと比較して腎尿細管頂側膜に発現するMRP2やMRP4の発現量が低いことが明らかとなった。一方、側底膜側のOAT1やOAT3発現量は生後2週齢において、8週齢ラットと比較してほぼ同程度の発現量となっていた。さらに、腎組織内での発現分布について比較したところ、生後0日のラットではOATとMRPはともに皮質の内層部に発現が認められた。しかし、これらの発現は生後日数に伴って、外層へと移動し、生後2週齢では成熟ラットと同様に皮質外層部まで発現が認められた。一方、アニオン輸送系のモデル薬物である腎機能検査薬フェノーススルホンフタレインの尿中への排泄について検討したところ、2週齢のラットでは8週齢のラットと比較して有意に低い値を示した。以上の結果から、腎臓からのアニオン排泄能は年齢とともに成熟し、トランスポータ発現量と相関することが明らかとなった。特にPSPの排泄低下は刷子縁膜側のMRPの変動に影響される可能性が考えられた。これらの成果は、小児と成人との薬物動態の違いを明らかにするうえで有用な基礎的知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はアニオントランスポータについて発現変動と薬物動態への影響について明らかにした。またこれらを学術誌および学会にて報告している。これらは、当初の年次実験計画に沿った物である。また、平成24年度の実験計画についても予備的な検討を開始している。従って、概ね研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに対象トランスポータを拡充することを予定している。腎臓にはさらに有機カチオン輸送系やペプチド輸送系が機能していることが知られており、これらの変動と薬物動態との関連について焦点を当てる。具体的には平成23年度までの実験手法を踏襲することによって、すみやかな実験計画の遂行を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の実験計画を推進する上で必要となる消耗品の費用に充てる。平成23年度と同様に、動物実験や輸送実験に伴う機器・備品の購入も予定している。また、平成24年度は研究計画の最終年度に当たることから、成果報告のための旅費および論文投稿料、英文校正費用などに研究費を充当する。
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