2012 Fiscal Year Annual Research Report
成長に伴う腎薬物トランスポータの変動機構解明と薬物動態への影響
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23790182
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30359822)
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Keywords | トランスポータ / 腎臓 / 薬物腎排泄 |
Research Abstract |
本研究は、薬物腎排泄における重要な膜タンパクである薬物トランスポータに焦点をあて、さらに成長におけるこれらトランスポータの変動と薬物腎排泄に対する影響について検討した。本研究では、発達過程における腎薬物トランスポータの発現変動について検討した。 生後0日から8週にかけてのWistar/ST系ラットの腎臓より、total RNAおよび粗膜画分を調製し、発達過程におけるOAT1、OAT3、MRP2、MRP4のmRNAおよびタンパク質発現量の変化を調べた。 生後0日から8週にかけて、OAT1とOAT3のmRNAおよびタンパク質発現量は増加した。一方、MRP2とMRP4の発現量は、生後0日では検出されず、生後2週で検出され、8週にかけて増加した。以上より、薬物トランスポータの発現量は発達過程において増加するが、側底膜側に発現するOAT1およびOAT3と、刷子縁膜側に発現するMRP2およびMRP4では発現変動の時期が異なることが示唆された。さらに免疫組織学的検討から、腎臓の成熟過程に伴って各トランスポータの局在が変動することが明らかとなった。 一方、アニオン性のモデル薬物であるPSPの尿中排泄速度は2週齢ラットにおいて8週齢ラットと比較して顕著に低下しており、PSPが主に尿細管分泌される薬物であることを考え合わせると、トランスポータ発現量の低下が薬物腎排泄の低下につながると示唆された。
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