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2011 Fiscal Year Research-status Report

抗癌剤の奏効率向上を目指した膵癌新規治療標的へのアプローチ

Research Project

Project/Area Number 23790198
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

西 弘二  慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (00398249)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsゲムシタビン / 膵癌 / メタボローム
Research Abstract

本研究では膵癌治療の奏効率向上を目的として、メタボローム解析手法等を用いたヒト膵癌細胞における代謝拮抗剤ゲムシタビンの作用機序およびゲムシタビン耐性メカニズムの解明を試みた。 作用機序解明に関する検討では、膵癌研究において汎用されているヒト膵癌細胞株Miapacap-2を用いてゲムシタビン曝露後の細胞内代謝応答を調べた。その結果、細胞内に取り込まれたゲムシタビンは速やかに3リン酸化体までリン酸化を受けた。核酸代謝においては、ゲムシタビンは膵癌細胞内でCTP合成酵素およびリボヌクレオチド還元酵素を阻害することが示唆された。各酵素の阻害剤曝露の結果、CTP合成酵素阻害剤曝露後の核酸代謝変動がゲムシタビンのそれと類似していたことから、ゲムシタビンはピリミジン代謝において主にCTP合成酵素を阻害することを初めて見出した。さらに、核酸代謝阻害に対する細胞応答として解糖系およびTCAサイクル活性の上昇が観察された。ゲムシタビン耐性に関する検討では、Miapaca-2および、よりゲムシタビン感受性の高いAsPC-1にゲムシタビンを曝露した後のゲムシタビン代謝物および核酸代謝変動について調べた。ゲムシタビン代謝において、Miapaca-2ではAsPC-1よりゲムシタビンリン酸化体量が低いことが明らかとなった。この原因の1つにリン酸化酵素デオキシシチジンキナーゼの発現量が関与していることが示唆された。また、ゲムシタビンのCTP合成酵素阻害において、Miapaca-2の方がその阻害程度が小さいことが示唆され、原因としてMiapaca-2におけるCTP合成酵素発現量がAsPC-1より高いことが挙げられた。 このように本研究では、初めてゲムシタビンの膵癌細胞内での作用機序を明らかにし、耐性のメカニズムについての知見を得ることに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

膵癌細胞におけるゲムシタビンの作用機序を明らかにすることは、ゲムシタビン耐性のメカニズム解明につながり、それらの情報をもとに膵癌治療の奏効率向上にもつながる。そのため、平成23年度の研究計画ではヒト膵癌細胞におけるゲムシタビンの作用機序を明らかにすることに比重をおいた。始めに、メタボローム解析手法を用いたゲムシタビン測定系を確立し、最終的にゲムシタビン曝露後のゲムシタビン代謝物およびその他の細胞内代謝物を網羅的に測定することに成功した。その結果、膵癌細胞内におけるゲムシタビンの作用機序を明らかにすることが出来た。さらに、複数の細胞を用いた検討からゲムシタビン感受性に関与している代謝応答を見出し、ゲムシタビン耐性メカニズム解明のために有用な情報を得た。上皮間葉転換(EMT)が膵癌のゲムシタビン耐性に関与していることが知られていることから、上皮細胞および間葉系細胞の代謝物プロファイルの違いを調べることでゲムシタビン耐性メカニズムを明らかにすることが出来ると思われる。現在、約10種類の膵癌細胞の代謝物プロファイルを測定中であるため、全体を通して現在までの研究計画はおおむね順調に進んでいると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、まず始めにすでに入手済みの約10種類の膵癌細胞株のゲムシタビン感受性を調べる。次いで、これらの細胞株に含まれる代謝物網羅的に調べそれらの値を細胞間で比較する。感受性と相関のある代謝物あるいは代謝経路を探索する。また、感受性の低い耐性細胞株のモデルとして当教室で作成したゲムシタビン耐性株も比較対象に加える。 これまでの検討で、数種類の膵癌細胞においてゲムシタビンは同様の作用機序を示すことが確認されたものの、ゲムシタビン曝露に対する細胞応答とゲムシタビン感受性に関係については明らかにされていない。そこで、上述した感受性の異なる約10種類の膵癌細胞株にそれぞれゲムシタビンを曝露し、ゲムシタビン代謝物、核酸、アミノ酸など細胞内代謝物の応答を調べることでゲムシタビン感受性因子の探索を行うと同時に、ゲムシタビン耐性メカニズムについて考察する。 さらに、これら約10種類の細胞株をEMTマーカーであるE-カドヘリンとビメンチンを用いて上皮細胞と間葉系細胞に分類し、それぞれの細胞内代謝物やゲムシタビン曝露後の細胞応答の違いから、EMTによるゲムシタビン耐性のメカニズムについても考察する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今後の研究費は、主に細胞培養関連試薬(培地や血清)や培養関連器具(フラスコ類)、抗体、一般試薬および溶媒など消耗品の購入にあてる予定である。また、一部国内学会や研究打ち合わせ、論文投稿料などにあてる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] A metabolomic analysis revealed the involvement of deoxycytidine kinase and CTP synthase in the sensitivity of human pancreatic cancer cells to gemcitabine

    • Author(s)
      西弘二、藤村由梨香、西牟田章戸、杉本昌弘、曽我朋義、谷川原祐介
    • Organizer
      American Association of Cancer Research Annual Meeting 2012
    • Place of Presentation
      McCormick Place West (シカゴ、アメリカ)
    • Year and Date
      平成24年4月1日
  • [Presentation] ゲムシタビン曝露ヒト膵癌細胞の網羅的メタボローム解析

    • Author(s)
      西弘二、藤村由梨香、西牟田章戸、杉本昌弘、曽我朋義、谷川原祐介
    • Organizer
      日本癌学会学術総会
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場(愛知)
    • Year and Date
      平成23年10月4日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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