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2011 Fiscal Year Research-status Report

腫瘍辺縁血管新生抑制を目指した分子標的ナノ遺伝子製剤開発のための基礎研究

Research Project

Project/Area Number 23790202
Research InstitutionSt. Marianna University School of Medicine

Principal Investigator

藤原 成芳  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (50365425)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsデコイ型遺伝子製剤 / リポソーム
Research Abstract

平成23年度はin vitroでの癌モデル系の確立と構築した系を使用した遺伝子製剤のスクリーニング、及び製剤キャリアーの検討を中心に行った。 まず始めにTGF-betaの産生と低酸素状態を念頭にin vitroでの癌モデル系の確立実験を行った。その結果TGF-betaを6ng/ml、低酸素6時間という条件でVEGFの産生が高い事がわかり、これをin vitro実験系として採用した。この実験系を利用したスクリーニングからD-90という遺伝子が効果的にVEGFの産生を抑制することを見いだし、これを候補製剤とした。 次に臨床応用を考慮し、アニオン性リポソームをベースとした製剤キャリアーの作成について検討を行った。元来リポソームにはenhanced permeability and retention (EPR)効果により癌組織周辺に受動的ターゲティングされる性質が備わっており、癌治療に有用であるとされている。我々のアニオン性リポソームはこの特徴に加え、エンドサイートーシスではなく細胞膜との融合により細胞内に取り込まれる可能性が示唆されており(現在、メカニズムの詳細について検討中)、その結果リソソームを中心とした細胞内分解システムを回避することが可能となり、遺伝子製剤をより効果的に細胞内へ送達できると考えている。 最後にD-90遺伝子製剤をアニオン性リポソームに内封し、in vitro実験系でその効果を確認した。その結果、導入効率は非常に良好で、またVEGF遺伝子のmRNA発現も効率よく(約70%)抑制出来ることを示した。これは市販の遺伝子導入試薬DOTAP (Roche)とほぼ同等であり、体内での生体適合性を考えるとその有用性は市販品よりもより高いと考えられ、現在までに得られた知見は、腫瘍細胞周辺の血管新生を抑制し増殖を抑える遺伝子治療法を開発する上で有用であると思われる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度前半に行う予定であった製剤キャリアーの検討を平成23年度後半に行ったため、計画書とは少し進行過程は異なるが、概ね順調であると考えている。平成24年度の前半に平成23年度の後半で行う予定であった遺伝子製剤の免疫活性化部位の検討を行う予定である。ここまでVEGF産生を抑制するための様々な遺伝子製剤のスクリーニングを行って来たが、D-90と名付けたデコイ遺伝子が安定して機能しており、また作成した製剤キャリアーとの相性も良いので平成24年度は落ち着いて後続の実験が出来ると考えている。 またここまでの研究経過を平成24年3月に行われた日本薬学会での発表で報告出来た事も順調に進展している成果であると考えている。 平成24年度は早めにex vivoでも効果が期待出来る事を示し、後半では実際の血管新生モデルを使った実験等でin vivoにおける遺伝子製剤の効果を証明したいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後の推進方策として、平成24年度は平成23年度に作成したD-90遺伝子製剤にVEGF遺伝子転写抑制効果に加えて免疫活性化能を付加するために、免疫活性化部位と活性化を促進する遺伝子配列・構造を検討する予定である。当初この検討を平成23年の後半で行う予定であったが先に製剤キャリアーの検討を行ったために予算の使用が軽減されたが、平成24年度に改めて遺伝子の作成に入るため、制限酵素やポリメラーゼといった酵素類の購入費に前年度未使用であった予算を使用する予定である。D-90部位にSMAD/HIFが結合した際、これらを捕捉・抑制すると同時にそれが駆動力となり免疫活性化因子をコードする遺伝子の転写の活性化が可能となり、周囲の免疫を活性化が実現する仕組みを想定しており、免疫活性化因子の産生を確認する。従って平成24年度の予算を定量PCR法で用いる酵素等の費用に、またタンパク質の産生をELISA法で確認するための抗体の購入に当てる。 次にin vivoに近い細胞での製剤効果を確認するため、マウスの腹腔内、あるいは骨髄細胞から誘導したマクロファージに投与し同様に実験を行う計画である(ex vivo)。従ってマクロファージ細胞を単離するための抗体(磁気分離システムで使用)の費用に当てる。生体により近い細胞は通常の遺伝子導入実験でも導入効率が極端に低下するので、この点が私のリポソームで克服できているか確認する。問題が有れば直ちにリポソームの組成に戻り検討を行う。 細胞を用いる実験としての最後に、ヒト由来のマクロファージを用いて実験を行う。ヒト由来の細胞株は市販されているので平成24年度の予算をその購入費にあてる。またよりin vivoに近い環境で血管新生を抑制している事を示すために血管新生キットにより効果を検討する。従って平成24年度の予算をその購入費にあてる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は引き続き実験に用いる遺伝子製剤の構築を行うためにポリメラーゼ等の酵素類が必要であると同時に遺伝子を抽出するカラム等も必要となる。遺伝子製剤の効果検討は主に細胞株で行うので、細胞培養に関連する培地や血清等の試薬と培養に使うプラスチック製品費を申請する。さらに細胞の反応を見るために添加するTGF-β等のサイトカインを購入し、またサイトカインの検出に用いる抗体予算を申請する。製剤キャリアーとして使うリポソームを作製するための脂質類が必要でありこれを予算として申請する。 機器類ではマクロファージをマウスの腹腔内または骨髄から単離、誘導するため、磁気細胞分離装置を購入したいと考えておりこれを申請する。さらに検討した遺伝子製剤はヒトのマクロファージ細胞でも検討を予定しておりヒトのマクロファージの購入、及び血管新生検討キットを購入し実際の血管新生抑制効果も検討する。in vivo実験まで到達出来ればその実験に用いるマウスを購入する。総括した上で研究成果を平成25年3月の日本薬学会にて発表する予定であり、国内旅費として申請する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Establishment of retinal progenitor cell clones by transfection with Pax6 gene of mouse induced pluripotent stem (iPS) cells.2012

    • Author(s)
      Suzuki N, et. al.
    • Journal Title

      Neurochem Res.

      Volume: 37 Pages: 835-45

    • DOI

      22219129

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Role of SDF1/CXCR4 Interaction in Experimental Hemiplegic Models with Neural Cell Transplantation.2012

    • Author(s)
      Arimitsu N, et. al.
    • Journal Title

      Int J Mol Sci.

      Volume: 13 Pages: 2636-49

    • DOI

      22489115

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Excessive CD4+ T cells co-expressing interleukin-17 and interferon-γ in patients with Behçet's disease.2011

    • Author(s)
      Shimizu J, et. al.
    • Journal Title

      Clin Exp Immunol.

      Volume: 168 Pages: 68-74

    • DOI

      22385240

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Effect of shield-arms typed oligonucleotides on regulation of tumor-associated macrophage function.2012

    • Author(s)
      Fujiwara N, et, al.
    • Organizer
      日本薬学会
    • Place of Presentation
      札幌(北海道大学)
    • Year and Date
      2012年3月31日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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