2012 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍辺縁血管新生抑制を目指した分子標的ナノ遺伝子製剤開発のための基礎研究
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23790202
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤原 成芳 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (50365425)
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Keywords | 遺伝子製剤 / デコイ型遺伝子 / IRF-1 |
Research Abstract |
癌組織から過剰に産生されたTGF-betaは、癌組織周辺マクロファージに作用し、マクロファージの免疫活性を低下させる。同時に血管内皮細胞増殖因子 (VEGF)の産生を促進し、癌組織周辺の血管新生を誘導し、癌の悪性化を促進する。本研究では、腫瘍細胞由来TGF-betaにより促進されるVEGFの産生に寄与するシグナル伝達分子を捕捉するデコイ型核酸配列の設計を試みた。すなわちTGF-betaレセプター下流のシグナル分子であるSmad、および癌組織に特徴的な低酸素状態下で誘導される低酸素誘導因子 (HIF : hypoxia induced factor) に着目し、これらを捕捉・不活性化する核酸配列を構築した。さらに、マクロファージの抗癌活性を増強する転写因子IRF-1に焦点を当てた。IRF-1は抗腫瘍活性をもつiNOSの主要転写因子であり、マクロファージの抗癌活性を誘導することが可能である。そこで、デコイ型遺伝子配列 (アームズ) の下流にIRF-1をコードする遺伝子 (シールド) を連結し、マクロファージの相反する二つの作用を利用した盾矛型(シールド/アームズ型)遺伝子製剤の開発を目指した。 作製したデコイ型遺伝子のうち、D-90は最も高いデコイ活性を示し、VEGF遺伝子の発現をコントロールと比較して約70%抑制した。また腫瘍周辺を模倣した環境において、D-90をRAW264.7細胞に導入したところ、高いルシフェラーゼ活性が認められた。従ってD-90はデコイとして機能する一方で、下流の遺伝子の転写を促進するプロモーターとしての活性も保持していた。RAW264.7細胞に導入したところ、IRF-1遺伝子およびiNOS遺伝子の発現を促進しており、デコイとして機能すると同時にIRF-1を発現し抗腫瘍活性を誘導するシールドアームズ型遺伝子として機能する可能性を示す事が出来た。
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