2011 Fiscal Year Research-status Report
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23790204
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
岩崎 雄介 星薬科大学, 薬学部, 助手 (10409360)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 糖尿病 |
Research Abstract |
生体の恒常性維持のため、生体中に存在する酸化物質と抗酸化物質の活性は、一定のバランスで維持されている。しかし、酸化物質と抗酸化物質のバランスが崩れ、酸化物質が過剰に存在する酸化および窒素化ストレス状態になると、動脈硬化、発がんや生活習慣病などさまざまな病態を引き起こす。従って、生体内の酸化および窒素化ストレス状態を正確に把握することが可能となれば、病態の早期発見や予防に有用であると考えられる。酸化および窒素化ストレス状態に対応するために、生体内抗酸化物質として反応性の高いチオール化合物(還元型グルタチオン : GSH、酸化型グルタチオン : GSSG、システイン、シスチン、ホモシステインおよびホモシスチン)を測定対象物質に選定し、カラムスイッチング-親水性相互作用クロマトグラフィー/質量分析法(HILIC/MS)による血清中チオール化合物分析法の構築を行った。既存の方法では前処理過程で還元型チオール化合物が自動酸化を受け、正確な定量が困難であることが判明した。そこで、自動酸化の抑制とMSにおけるイオン化促進を目的として、各種誘導体化を検討した。その結果、マレイミド骨格を有する誘導体化試薬でイオン化の促進が見られ、良好なピーク形状が得られた。更に、自動酸化を受けることのない信頼性の高い定量値が得られることが示された。他方、前処理方法にカラムスイッチング法を、検出器としてMSを使用したことで、生体試料に存在するチオール化合物を精度よく定量することができた。測定に供する試料量は極少量(25μL)で測定が可能となり、高感度・高精度な分析法が達成できたことから、糖尿病マウスの血清からチオール化合物を定量することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高極性物質であるチオール化合物は親水性相互作用クロマトグラフィーを用いて相互分離を検討し、検出器として質量分析計を使用することで選択的・高感度な分析法の開発を行った。還元型チオール類は自動酸化を受け、酸化型に変化するため、反応を停止させるための誘導体化試薬の検討し、質量分析計におけるイオン化の促進を含めて種々検討した。これらを検討した結果から、高感度なグルタチオン分析法の開発が達成できたため、初年度の計画は十分達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したグルタチオン分析法を用い、生活習慣病の一つである糖尿病に羅患された糖尿病マウスを用い、血中グルタチオンの測定を行う。生活習慣病になることで還元型グルタチオンの濃度変化を評価し、酸化ストレスマーカーとしての有用性を評価する。血液および唾液中のチオール化合物の濃度の比較を行い、相関性を比較することで、酸化ストレス状態の把握が可能であるか検討する。また、喫煙など外的要因の影響についても検討を行い、唾液中チオール化合物濃度の変動を調べ、唾液試料の有用性について評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析を行うために必要な消耗品(移動相溶媒、試料前処理カートリッジ、分析カラム)や実験動物(糖尿病マウス)など、物品費の購入に研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)