2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳内薬物代謝酵素の領域特異的機能解明と脳内薬物相互作用の予測
Project/Area Number |
23790207
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Keywords | 脳 / グルクロン酸抱合 / UGT1A / mRNA / 誘導 |
Research Abstract |
第二相薬物代謝反応において最も重要であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)は主に肝に発現しているが、脳にも発現しており、脳内の薬物代謝反応に関与していると考えられる。本年度はラット脳内で7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(SN-38)グルクロン酸抱合反応およびアセトアミノフェン(APAP)グルクロン酸抱合反応が認められることを明らかにした。 また、薬物代謝酵素誘導薬であるフェノバルビタール(PB)は、ラット肝のUgt1a1およびUgt1a6を誘導することが報告されている。PBは催眠・鎮静・抗てんかん薬であり、脳内に移行する。そこで、PB投与によるラット脳内Ugt1aの発現変動を明らかにすることを目的に検討を行った。8週齢の雄性Sprague-DawleyラットにPB 80 mg/kg/dayを7日間連続腹腔内投与した。最終投与24時間後に脳を摘出し、小脳、前頭皮質、頭頂皮質、梨状皮質、海馬、延髄、嗅球、線条体、視床に9分割した。リアルタイムPCRにて各部位のUgt1a1、Ugt1a6、Ugt1a7 mRNAを定量した。また、各部位のミクロソームを調製し、SN-38グルクロン酸抱合反応およびAPAPグルクロン酸抱合反応をそれぞれHPLC、LC-MS/MSを用いて検討した。PB投与により、Ugt1a1のmRNAは線条体において4倍、SN-38グルクロン酸抱合活性は1.4倍に有意に上昇した。また、嗅球、線条体、視床においてUgt1a6 mRNAはそれぞれ、1.8倍、3.0倍、2.9倍、Ugt1a7 mRNAはそれぞれ、2.0倍、2.6倍、2.6倍、APAPグルクロン酸抱合活性は1.2倍、1.8倍、1.2倍に有意に上昇した。本年度の研究により、PBにより脳内Ugt1aが誘導され、mRNA発現量およびグルクロン酸抱合活性が変動することを明らかとした。
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