2011 Fiscal Year Research-status Report
小児の発育に伴う薬物代謝酵素の活性変動と薬理効果を考慮した最適な医薬品投与設計
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23790212
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
田山 剛崇 広島国際大学, 薬学部, 講師 (80389121)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | developmental change / metabolic enzyme / children / xanthine oxidase / aldehyde oxidase |
Research Abstract |
ラット出生日齢に伴うモリブデン(Mo)含有薬物酵素 (xanthine oxidase (XO) およびaldehyde oxidase (AO))の活性変動を検討した。生後0,1,2,3,4,5,6週齢のラットを屠殺後、肝を摘出し、Cytosol画分を作成した。その後、Cytosol画分中のXO活性及びAO活性を測定した。なお、XO活性は、1-methylxanthineの酸化活性にて、AO活性は、N1-methynicotinamideおよびphenanthridineの酸化活性にて評価した。出生後の新生仔に関して検討を行った結果、XOおよびAO活性は生後日数に伴いその活性の上昇が認められ、4週齢にて成獣と同等の活性を示した。発育に伴うMo含有代謝酵素活性変動モデルを作成するため、Mo含有酵素の活性変動因子であるタンパク構造変化およびMo cofactor の生合成に関与するGephyrin (GEPH)やMo Cofactor Synthesis (MOCS) proteinの発現量変化を検討した。発育に伴うMonomer体/Dimer体の発現比は、一定であった。タンパク構造の変動が活性に影響を与えていないと考えられる。一方、Mo cofactor の生合成に関与する因子に関しては、生後0週齢よりGEPHタンパクの発現を認め、発育に伴い、その発現量が増加した。同様に、MOCSにおいても生後0週齢よりタンパク発現を認め、発育に伴い発現量が増大した。さらに、AOおよびXO活性の間に良好な相関が認められた。AOおよびXO活性は、そのタンパク発現量に加え、MOCSやGEPHなどのMo Cofactor生成系によっても制御されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、本年度は、本研究で最も基礎的検討の必要な部分に従事した。xanthine oxidase (XO) およびaldehyde oxidase (AO)は類似した酵素であり、その発育に伴う変動も類似している。そのため、XOおよびAO活性変動を示す共変量として、各酵素タンパクの発現量およびGephyrin (GEPH)やMo Cofactor Synthesis (MOCS) proteinのタンパク発現量の検討を行った。その結果、これらの因子を利用した発育に伴う薬物代謝酵素モデルの構築が行えると考える。従って、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果として、Mo含有薬物酵素であるxanthine oxidase (XO) およびaldehyde oxidase (AO)の活性変動要因として、各酵素タンパク発現量やMOCSやGEPHなどのMo Cofactor生成系が影響を及ぼしており、これらを考慮した発育に伴う薬物代謝モデルの作成が有用と考えられる。次年度は、本年度組んだモデルと幼若ラットin vivoでの比較を、薬物動態的・薬力学的観点より行う。なお、使用する医薬品として、6-mercaptopurineを考えている。ラットに加えて、ヒトにおけるモデルの構築も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、Mo含有薬物酵素であるxanthine oxidase (XO) およびaldehyde oxidase (AO)の活性を測定するため、HPLCを購入した。次年度行う予定である6-mercaptopurineの体内動態測定も、本年度購入したHPLCを用いて行う予定である。しかし、HPLCを稼動させるため、カラム、溶媒等を購入する必要がある。同時に、サンプルの精製等にも経費が必要となる。また、発育に伴う薬物代謝酵素活性の変動を検討しているため、本年度と同様に、幼若ラットも購入する予定である。
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