2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790215
|
Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
山口 朋子 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクト研究員 (50580130)
|
Keywords | アデノウイルス / 小分子RNA |
Research Abstract |
アデノウイルス(Ad)ベクターは、高効率に種々の細胞に遺伝子導入可能なことから遺伝子治療および基礎研究で汎用されている。しかしながら、Adベクターは生体内投与直後、強い自然免疫応答(炎症性サイトカインやI型インターフェロン(IFN)の産生等)を惹起することが大きな問題となっている。そこで、本研究では、近年申請者らが明らかにしたVA-RNAによって惹起される免疫応答のさらなるメカニズム解明およびVA-RNAの役割について解析を行うこととした。VA-RNA欠損非増殖型Adベクターは増殖能が乏しく、ベクターの大量調製が困難であるという問題点を有する。そこで昨年度、薬物の添加により必要時にVA-RNAの発現を誘導可能な細胞株を作製し、Doxycyclineの添加によってVA-RNAの発現が誘導される293細胞を用いて適切な時期にVA-RNA発現を誘導することでVA-RNA欠損Adベクターの産生・増幅に成功した。 今年度は、VA-RNA遺伝子を含むほぼ全てのウイルス遺伝子を取り除いたHD-Adベクター、ならびにVA-RNA遺伝子を欠損させたAdベクターを用いて、VA-RNAがshRNA発現AdベクターによるRNAi効果を阻害するか検討した。各種遺伝子 に対するshRNA発現HD-Adベクターと、shRNA発現従来型Adベクターのノックダウン効率を比較したところ、shRNA発現HD-Adベクターは有意に高いノックダウン効率を示したことから、VA-RNAはshRNA発現AdベクターによるRNAi効果を阻害していることが示された。 また、TBK1遺伝子欠損マウスではAdベクター投与後自然免疫応答において重要な役割を果たすI型IFNの顕著な低下を認めた。すなわち、Adベクターによる免疫応答の誘導にはAd由来の核酸が強いアジュバント効果を発揮していることが強く示唆された。
|
Research Products
(1 results)