2012 Fiscal Year Annual Research Report
心臓形態形成における選択的細胞分化誘導とそれに関わる不均一シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
23790232
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
坂部 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00525983)
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Keywords | 心臓発生 / 心内膜床 / シグナル伝達 / Notch / EMT |
Research Abstract |
心臓弁や中隔の形成は、初期胚心臓の流出路と房室管領域に「心内膜床」と呼ばれる一対の隆起が生ずることに始まる。この心内膜床は、心筋細胞から分泌されるTGF-betaやBMPなどの成長因子のシグナルを感知した内皮細胞が間葉細胞へと形質転換(Endothelial-Mesenchymal Transformation; EMT) することにより形成される。一方、Wntや Notchなど内皮細胞に発現するシグナル因子の欠損マウスも心内膜床形成異常を示すことから、EMTを起こす内皮細胞は、これらの因子によりあらかじめ運命決定され、その細胞のみがEMTを起こすとも考えられている。しかしながら、その詳細は不明である。 本研究では、Notch情報伝達系に注目し、その活性化パターンに焦点を当てて研究を行った。その結果、マウス胎仔の心内膜床内皮細胞ではNotchシグナル「ON」と「OFF」の細胞が混在し、不均一なシグナル伝達に制御される細胞集団であることが示唆された。また、Notchシグナル活性をモニタリングできるトランスジェニックマウスでも同様の結果が得られたことから、今後は、このトランスジェニックマウスを用いたライブイメージングにより、不均一な活性化パターンを動的に捉え、この不均一なNotch活性化パターンが過不足のないEMT誘導に重要であることを明らかにする必要がある。また、我々はNotchシグナルの下流ターゲット因子であるHrt転写因子を内皮細胞特異的に欠損させたマウス胎仔では心内膜EMTが誘導されないことも見出しており、これまで不明な点が多かった心内膜床形成におけるNotchシグナルの細胞分化制御機構の一端を明らかにできる可能性が高まってきている。
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