2011 Fiscal Year Research-status Report
起立性低血圧における前庭-動脈血圧反射の定量的評価と飲水による改善方法
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23790246
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安部 力 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10585235)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 圧受容器反射 / 前庭系 / 起立性低血圧 / 飲水-昇圧反射 |
Research Abstract |
申請者の研究の目的は,1) 起立性低血圧における前庭系と圧受容器反射の相互作用解明,2) 飲水による昇圧反射(飲水-昇圧反射)のメカニズム解明, 3) ヒトの起立性低血圧に対する飲水-昇圧反射の有用性確認,という3点である。この研究は,高齢者のQOL改善という面で非常に重要であると考えられる。1) 起立性低血圧における前庭系と圧受容器反射の相互作用解明:自由行動下ラットの起立時の動脈血圧は,圧受容器だけを破壊すると有意に低下した。このラットの前庭器を破壊すると,起立時の動脈血圧はさらに有意に低下した。このことから,自由行動下における起立時の動脈血圧応答に,圧受容器と前庭器が相互に関与していることが示唆された。麻酔下の実験では,Head-up tiltによる圧受容器反射のゲイン変化を調べた。前庭器が正常なラットでは,Head-up tilt時に交感神経活動亢進が起こることがわかった。このことから,Head-up tilt時の前庭刺激により,圧受容器反射の中枢弓(圧受容器→交感神経)のゲインを増加させて血圧を維持することが明らかになった。この結果は,国際雑誌に掲載された。2) 飲水-昇圧反射のメカニズム解明:圧受容器破壊ラットでは,飲水時に動脈血圧が約60 mmHg上昇する。この昇圧応答は飲水の度に生じ,塩化ガドリニウム投与により有意に抑えられた。このことから,飲水-昇圧応答には,飲水に関する筋肉からの求心性情報が重要であるということが示唆された。この結果は,現在,国際雑誌に投稿中である。3) ヒトの起立性低血圧に対する飲水-昇圧反射の有用性確認:圧受容器反射機能低下が生じている高齢者では,飲水による有意な昇圧応答が見られた(+ 7 ± 2 mmHg, n = 9)。この結果から,起立性低血圧に飲水が有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究予定の約8割を達成することができた。今年度の論文・学会発表および学会賞受賞は以下の通りである。論文投稿:Abe C, Kawada T, Sugimachi M, Morita H. Interaction between vestibulo-cardiovascular reflex and arterial baroreflex during postural change in rats. J Appl Physiol. 2011 Dec;111(6):1614-21学会発表:第12回 Neurocardiology workshop, 第21回日本病態生理学会,第64回日本自律神経学会総会,第58回中部日本生理学会,第39回自律神経生理研究会,第89回日本生理学会学会賞:平成23年度 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞日本生理学会奨励賞 [心臓・循環分野],第12回Neurocardiology workshop奨励賞また,現在,国際誌に論文投稿中のものがある。
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Strategy for Future Research Activity |
第一の目標は,現在投稿中の論文(飲水-昇圧反射のメカニズム解明)のアクセプトである。追加実験の必要性に応じて,研究を進めていく予定である。次に,高齢者における坐位での飲水-昇圧反射が確認できたため,今後は起立性低血圧に対する飲水の有用性を確認していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加実験に伴う動物,試薬,消耗品の購入,論文投稿料,国際学会発表 (EB2012)に使用予定である。
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Research Products
(15 results)