2011 Fiscal Year Research-status Report
Dent病における近位尿細管細胞内H+輸送の役割‐Dent病の治療を目指して‐
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23790259
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
白岩 有桂 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20596605)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CLC-5 / 酸性小胞 / V-ATPase |
Research Abstract |
1.ウシ蛙における,哺乳類CLC-5に相当するチャネルの検索抗ヒトCLCN5抗体を用いた免疫染色では尿細管管腔膜及び,細胞質が顆粒状に染色され,管腔膜,及び小胞膜にCLC-5が分布していることを確認した.尿細管内外を灌流することにより,二酸化炭素負荷を行ったが染色性に有意な差は認められなかった.2.V-ATPaseによる酸性小胞と細胞質のpH勾配の形成塩化物イオン輸送に必要なpH勾配の形成に関わる重要な輸送体であるV-ATPaseの関与についても研究を進めた.基底膜側からの二酸化炭素負荷により細胞質は一旦酸性化された後アルカリ化される.V-ATPaseの特異的阻害剤であるバフィロマイシンを用いた実験系では,この現象は抑制され,膜の脱分極とともに細胞質は酸性化された.一方,基底膜側からの二酸化炭素負荷により管腔内液もアルカリ化されることから,細胞質からの水素イオン輸送は主に酸性小胞に存在するV-ATPaseが担っている可能性が示唆された.アクリジンオレンジを用いて細胞を蛍光標識し,バフィロマイシンによる影響を視覚的に捉えると,酸性小胞内へのオレンジ色の取り込みが抑制され,水素イオンの酸性小胞内への取り込みが抑制されていることが確認できた.さらに,抗ウシ蛙V-ATPase E-subunit抗体を用いた免疫染色ではV-ATPaseは管腔膜だけでなく,酸性小胞膜にも分布していることが確認できた.以上より,ウシ蛙近位尿細管細胞において,細胞質と酸性小胞との水素イオン濃度勾配形成にV-ATPaseが直接的に関与しており,細胞内のpH調節に酸性小胞が重要な役割を担うことが示唆された.(平成24年3月29日~31日開催の日本生理学会大会にて発表.論文作成中.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
切迫早産の診断により平成22年12月24日~平成23年3月8日まで入院,その後産前産後の休暇,及び育児休業取得(平成23年9月30日まで)のため,平成23年度科学研究費助成事業の交付内定後より約5カ月間補助事業を中断した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.腎結石を有するウシ蛙において,CLC-5の発現量,細胞質及び管腔内液のカルシウムイオン濃度やpHを調べ,腎結石を有さない食用蛙と比較検討する.塩化物イオンチャネル阻害剤(NPPB,DIDS等)を投与し,腎結石発症への影響を調べる.また,同阻害剤投与下で二酸化炭素負荷による細胞質や酸性小胞内のpH変化を検討する.酸性小胞内への水素イオン輸送については,cAMPを介するAキナーゼ系のシグナル伝達経路の関与が示唆されていることから(Fujimoto et.al., Jpn J Phyisiol, 1988),cAMP濃度の変化による細胞質や酸性小胞内のpH変化も検討する.2.CLC-5のノックアウトマウスに必ずしも腎結石が存在するわけではないことが報告されていることから,CLC-5の調節蛋白が存在しその異常によって腎結石が生じる可能性もある.どのような蛋白が増加しているのかmRNAの発現状態を測定し,調節蛋白を見つけることも予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.昨年度に購入予定であったPowerLabの購入,2.E211A変異マウスの作成費に大幅に使用する予定である.
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