2012 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球分化・脱核および赤血球前駆細胞株化機構の解明
Project/Area Number |
23790263
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
寛山 隆 独立行政法人理化学研究所, 細胞材料開発室, 専任研究員 (50373361)
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Keywords | 赤血球分化 / ES / iPS |
Research Abstract |
平成24年度においては、まずMEDEP-BRC5を用いて網羅的タンパク発現解析を行った。分化前と分化開始後3日目のタンパク発現を比較し、分化後に有意に発現の上昇が見られるタンパクの中で、これまでに赤血球分化との関連がほとんど報告されていないものを13種類同定した。さらにその中の5種類に関しては遺伝子発現解析で得られた結果と一致していることが明らかとなった。これら5種類の遺伝子に関し、MEDEP-BRC5と脱核効率の低いMEDEP-BRC4-1における遺伝子発現を解析したところ3種類の遺伝子はMEDEP-BRC4-1において発現の上昇がMEDEP-BRC5に比べ弱いことが判明した。この3種類の遺伝子の中でABCG2(BCRP1)遺伝子の発現をMEDEP-BRC5を用いてsiRNAで抑制したところ、脱核効率がコントロールの20%程度に抑制された。このことからABCG2遺伝子は赤血球の脱核に重要な役割を果たしていることが示唆された。その他の候補遺伝子に関しては継続して解析する予定である。 ヒトES,iPS細胞を用いた赤血球分化誘導においては、TGFβ受容体阻害剤を用いることによりこれまでの方法と比較して最大で25倍程度、血液細胞誘導の効率を上げることに成功した。また約5ヶ月間培養を行っても赤血球前駆細胞を維持できることを確認した。しかしながらそのまま長期に培養を続けても細胞株を樹立するまでには至らなかった。また、細胞株化に重要である遺伝子の候補は見いだしたものの、過剰発現させても細胞株化には繋がらなかった。一方でヒトパピローマウィルス由来の癌遺伝子であるE6/E7を誘導発現系により導入することでヒトiPS細胞および臍帯血血液幹細胞から赤血球前駆細胞株の樹立に成功した。今後、これらを用いて赤血球前駆細胞株由来ヒト赤血球の機能解析および大量産生培養系の開発に取り組む予定である。
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Research Products
(2 results)