2011 Fiscal Year Research-status Report
胎仔骨石灰化のための母子間ミネラル輸送メカニズムの解明
Project/Area Number |
23790266
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
鈴木 喜郎 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (40348503)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | TRPチャネル / カルシウム / マグネシウム / 母子間輸送 / 胎盤 |
Research Abstract |
胎仔骨石灰化のための母子間カルシウムおよびマグネシウム輸送路の候補としてTRPM6を同定した。TRPM6はマウスの母子間ミネラル輸送部位とされるintraplacental yolk sacに局在し、胎仔骨石灰化のタイミングに合わせて発現が有意に増加した。次に胎盤絨毛上皮細胞のモデルとしてBeWo細胞に着目した。BeWo細胞は通常の培養条件では未分化の栄養膜細胞(cytotrophoblasts)の形態および特徴を呈するが、細胞内のcAMP濃度を増加させると合胞体栄養細胞(syncytiotrophoblasts)様の細胞に分化することが知られている。そこでBeWo細胞におけるTRPM6の発現を調べたところ、通常の培養条件ではほとんど発現が見られなかったがdbcAMP存在下でヒトTRPM6のアイソフォームの1つであるTRPM6aの発現が顕著に増加した。一方、TRPM7の発現量に有意な違いは認められなかった。さらにWhole-cell patch-clamp法によって膜電流を測定したところ、0.5 mM 2-APBで活性化される外向き整流性の膜電流がcAMP処理時のみで記録された。以上のことからTRPM6が合胞体栄養細胞において母子間カルシウムおよびマグネシウム輸送を担い得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画書に記載した通りに進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在TRPM6の特異的阻害剤が存在しないため、TRPM6のin vivoにおける生理的意義を解析するためにはTRPM6を時空間的にノックアウトする必要が生じた。そのため、まずTRPM6-loxPマウスを作成後、ER-Creマウスと掛け合わせることによって誘導型TRPM6KOマウスを作成し、妊娠後期胎盤において実際にTRPM6がミネラル輸送分子として機能しているかを明らかにする。その後、母体の血圧を測定する等によって妊娠高血圧症や低体重児との関与を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TRPM6-loxP ES細胞の購入費、キメラマウス作成費、およびER-Creマウス購入費を計上する。分子生物学、電気生理学研究経費については計画書の通りとする。
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