2011 Fiscal Year Research-status Report
視床下部Sirt1によるエネルギーバランス制御の分子機構の解明
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23790270
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐々木 努 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (50466687)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | sirtuin / 視床下部 / 摂食 / エネルギー消費 / 褐色脂肪 / 交感神経 |
Research Abstract |
Pomc陽性神経細胞でのSirt1の強制発現は、脂肪組織への交感神経性入力を増やしてエネルギー消費を上げることで抗肥満効果を示すことが分かった。具体的には、オスのPomc-Sirt1-KIマウスは普通食飼育下でコントロールに比べて体重が有意に低下しており、精巣周囲白色脂肪は軽く、脂肪細胞が小型化していた。摂食量は変わらなかったが、基礎代謝亢進と血漿甲状腺ホルモン(T4)の有意な上昇を認めた。しかし、T3負荷試験では有意な抑制は認められず、視床下部―下垂体―甲状腺系の機能亢進は軽微であることが分かった。そこで、脂肪組織への交感神経活動を測定する解析を行った。その結果、褐色脂肪組織ではPGC-1α、Tfam、Ucp1、Ucp2の発現亢進を認めた。また、脂質分解の亢進及び寒冷刺激時の体温上昇を認めた。しかし、食事性肥満モデルではこれらの抗肥満効果が消失した。Agrp陽性神経細胞でのSirt1の強制発現は、エネルギー消費への影響はなしに摂食量を抑制することで抗肥満効果を示すことが分かった。具体的には、オスのAgrp-Sirt1-KIマウスでは、基礎代謝と自発運動に変化はなく、摂食量の抑制による体重減少を認めた。これらのマウスの雌では有意な変化は認められなかった。一方、酵素不活性型のSirt1(H355Y)を発現するメスのAgrp-Sirt1(H355Y)-KIマウスは、摂食量の増加を伴った体重増加を認めた。しかし、食事性肥満モデルではこちらも抗肥満効果が消失した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はAgRP陽性神経細胞でのSirt1強制発現の影響を平成24年度に解析する予定であったが、マウスの交配がうまく進み、平成23年度に解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究結果より、視床下部弓状核のAgrpおよびPomc陽性神経細胞でのSirt1強制発現による抗肥満効果が、食事性肥満モデルで消失することが分かった。そこで、平成24年度にはこの抗肥満効果消失の分子メカニズムを追求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全て消耗品に使う予定です。 1,400,000千円 (その内訳) 実験用動物・飼育費 400,000千円 分子生物学実験用試薬 700,000千円 呼吸代謝行動量解析システム消耗品 300,000千円H23年度に交付申請した際のH24年度の費目内訳では、物品費、旅費、その他の費目に予算が計上されていましたが、今回は消耗品費のみに使用する予定に変更しました。
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