2012 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動を調節する視床下部ニューロンにおける脱リン酸化酵素TCPTPの役割
Project/Area Number |
23790276
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10442716)
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Keywords | チロシン脱リン酸化酵素脱リン酸化酵素 / 視床下部 / NPY / POMC / ARC / TCPTP / STAT3 |
Research Abstract |
本研究の目的は、視床下部pro-opiomelanocortin(POMC)ニューロンにおいて、チロシン脱リン酸化酵素のT-cell Protein Tyrosine Phosphatase(TCPTP)が、STAT3のリン酸化を調節することにより摂食行動が調節される事を示すことにあった。そこで、POMCニューロン特異的にTCPTP発現をノックアウトすることにした。学内の手続きに時間がかかったが、LoxPでTCPTPを挟んだマウスを留学先より輸送する時にいたり、POMC-Creによる特異的TCPTPノックアウトが表現系として何も変化していない事を知らされた。そこで、その下流にある調節系が補っている可能性を考え、NPY系にターゲットをしぼり学内手続きも終了してNPY- mVenusマウスを現在繁殖中である。その間にまず、通常のマウスでTCPTPの発現がどのように変化していくのか、エストロジェンと高脂肪食の効果を見る事にした。その結果、TCPTPの発現はエストロジェンで有意に増加した。一方、高脂肪食を投与したマウスではTCPTP発現は増加したが、エストロジェンはもはやTCPTPの発現増加を惹起しなかった。そこで、エストロジェンをより生理的な量にして再現性を確認した。通常摂食の卵巣摘除マウスの体重と糖負荷にはエストロジェンの作用は認められなかったが、高脂肪食にすると体重が増加し糖負荷が悪化したが、エストロジェンはこの効果を抑制した。STAT3のリン酸化、体重および耐糖能変化は、TCPTP発現と逆の動きをした。以上の事は、高脂肪食による肥満は、恐らくはNPYニューロンが関与し、その上流にはTCPTPが関与している事が示唆された。
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Research Products
(2 results)