2012 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンモニタリングを基礎とした現実のPOPs汚染レベルにおける環境医学的研究
Project/Area Number |
23790278
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 講師 (20288971)
|
Keywords | 難分解性有機汚染物質 / 外因性内分泌攪乱物質 / 性ホルモンモニタリング / 食品汚染 / 生殖毒性 |
Research Abstract |
POPsを急性的に曝露させた雄性C57BL/6マウス(8週齢)による血中の17種の性ホルモン(アンドロゲン4種、エストロゲン3種、プロゲスチン3種)及びその代謝物(7種)のモニタリングを行った。2,3,7,8-TCDD、マイレックス(Mirex)、ペンタクロロベンゼン(PeCBz)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は、コントロール群と比較して血中性ホルモン濃度の変動が顕著であった。性ホルモンの合成は、コレステロールを原料としプロゲスチン→アンドロゲン→エストロゲンが主な経路である。この合成過程の各性ホルモン生成比をコントロールと比較したところ、TCDD、PeCBz及びPFOSはアンドロゲン/プロゲスチン比が0.2~0.6とプロゲスチンからのアンドロゲン合成が減少していることが判明した。しかし、アンドロゲン代謝物/アンドロステンジオン比を確認したところ、大きく増加していたことより、アンドロゲンの合成量が見かけ上、減少しているが、さらに下流のアンドロゲン代謝物への代謝が亢進していることが明らかとなった。デヒドロテストステロン比は顕著に減少していることや、エストロゲンへの生成比が増加していることから、これらPOPsによる雄の雌性化現象が示唆された。 研究期間を通じて、種々の食品中に含まれるPOPsの汚染濃度が解明された。さらに現実の汚染レベルにおける動物への影響を評価したところ、食品汚染レベルでは顕著な内分泌攪乱作用が確認されなかったものの、高汚染レベルでの曝露の場合、動物実験において、内分泌攪乱作用を示した。この研究成果は、POPsの内分泌攪乱作用をリアルタイム的にモニタリングすることで攪乱メカニズムの解明への基礎的知見になると考えられる。また、現代社会において未解明な内分泌疾患と化学物質との因果関係を解明する一手段として重要な手法であると判断した。
|
Research Products
(23 results)