2012 Fiscal Year Annual Research Report
雄性生殖能力に関与する亜鉛トランスポーターの機能解析
Project/Area Number |
23790284
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福村 龍太郎 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (90392240)
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Keywords | 亜鉛トランスポーター / 男性不妊 |
Research Abstract |
亜鉛は、タンパク質の構造維持に必須であり、細胞内外のシグナル分子としても機能する。生体内での亜鉛ホメオスタシス維持に機能するZIPトランスポーターの1つであるSlc39a6遺伝子のMet541terナンセンス変異マウスは、雄のみが生殖能力が著しく低下している。Slc39a6遺伝子が雄性生殖能力にどの様に寄与しているか、ENU Gene-Driven mutagenesisシステムを用いた複数の点突然変異遺伝子産物および変異マウスの解析からそのメカニズムを検証した。Slc36a6遺伝子のエクソンを網羅する10組のPCRプライマーをデザインし、40プレート7512匹相当のENUマウス内に点突然変異の有無をHRM法で測定した。10組のPCRプライマーの変異スクリーニングの結果、2つのアミノ酸置換を引き起こすENU点突然変異(His106Arg, Ile345Met)を発見した。新たに発見したHis106Arg、Ile345Met変異を有するENUマウスの個体復元を行い、Met541ter変異マウスと共に雄性生殖能力に異常があるか検証したところ、Met541ter変異マウスのみ異常が確認され、His106Arg、Ile345Met変異マウスは正常であった。次にMet541ter変異マウスの精巣組織に異常がないかパラフィン切片を作製しHE染色を行い、正常マウスと比較した結果、明瞭な差を観察することはできなかった。 続いてMet541ter変異マウスの精子を用い、C57BL/6Jメスマウスから採材した卵に人工授精させ、Met541ter変異マウスの精子が受精能を有しているか検証した。受精24時間後に2細胞胚になっている受精卵の割合を計測した結果、正常マウス由来精子の受精能は49.6%、Met541ter変異マウスでは8.4%となり、受精能の差にP<0.01で有意差が確認できた。
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Research Products
(1 results)