2012 Fiscal Year Research-status Report
高血圧発症機序を交感神経活動の超慢性記録によって解明する。
Project/Area Number |
23790285
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
吉本 光佐 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (20418784)
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Keywords | 高血圧 / 腎交感神経活動 / 腰部交感神経活動 / 神経性動脈圧調節 / ラット |
Research Abstract |
高血圧は、交感神経活動の増加をともなうと一般的に考えられている。そのため、本研は、高血圧発症時の神経性機序を解明することを目的とし、高血圧発症モデルであるDahl食塩感受性高血圧ラットと自然発症高血圧ラットを用いて、同一固体で高血圧発症時の交感神経活動が動脈圧上昇に果たす役割について検討する。 <平成24年度の計画> 2年目は、自然発症高血圧ラットモデルの神経計測を軌道に乗せることを主として、血圧上昇時の交感神経活動が動脈圧調節に果たす役割を検討する。 【方法】雄の高血圧自然発症ラット(SHRSP)と雄のWistar京都ラット(WKY)に腎及び腰部交感神経活動測定用電極、動脈圧測定用テレメーターの慢性留置手術を行った。手術後5日間の回復期を経て、28日間の動脈圧、心拍数、腎及び腰部交感神経活動を連続測定した。また、1日おきに目視による90分間の行動観察を行った。 【結果】SHRSPの動脈圧は実験期間中上昇し続け、同時に動脈圧の睡眠基礎レベルの上昇と変動の幅の増加が見られた。しかし腎及び腰部交感神経活動と心拍数は、動脈圧とは異なり上昇しなかった。一方のWKYの動脈圧は実験期間中ほぼ一定値を保ち続け、変動の幅も変わらなかった。腎及び腰部交感神経活動と心拍数も上昇しなかった。また、SHRSPの動脈圧は日数が経過につれて行動に対する変動の幅が大きくなったが、腎及び腰部交感神経活動と心拍数では、その変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<平成23年度の計画> Dahl食塩感受性高血圧ラット(DS)と食塩耐性性ラット(DR)の比較 <平成24年度の計画> 23年度と同様に24年度前半は、上述のDS及びDRラットの測定を引き続き行い、24年度後半からは自然発症高血圧ラット(SHRSP)の測定を開始する。 <平成25年度の計画> 24年度と同様に、引き続きSHRSP及びWKYラットの測定を行い終了させる。引動脈圧と交感神 経活動の動向と交感神経活動と血流量及び血液成分の検討を行う。そして、さらなる解析として、交感神経活動測定データの周波数解析を行う。さらに、異なった高血圧発症モデルであるDSとSHRラット間との比較を行う。 23、24年度の計画は、上述の通りであり、24年度までに、DSラットの計測は終了した。また、SHRSPラットの測定は、これまで使用していたラットと比べて、若い週齢を使用しているため、手術に関する成功率が低かったが、ようやく軌道に乗り、概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目であるH25年度の最大の目標は、高血圧ラットモデルである自然発症高血圧ラット(SHRSP)の測定を終了させることである。昨年度までに、何週齢のラットを使用するかやそのラットにあった電極サイズの選定はすんでいるので、今年度は手術の成功率をあげて1ヶ月にわたる測定の例数を増やす事を優先させる。 また、測定終了後の周波数解析を行う。これら交感神経活動と動脈圧の実測データ、交感神経活動の周波数解析データを用いて、高血圧と交感神経活動の因果関係を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度も引き続き疾患モデル動物であるSHRSPを使用する。疾患モデル動物は、普通の実験動物に比べかなり高価であり、SHRとその対照群であるWistar Kyoto併せ動物代として約20万円(約40匹)必要である。また、1ヶ月にわたる動脈圧測定に欠かせない血圧測定用テレメトリー送信機再生費(電池、カテーテルパッケージ交換)に約50万円(6台)必要である。 昨年の残額は、3年目に主となる交感神経活動の周波数解析用のハード・ソフトの購(現在、どれにするか検討中である)や、研究発表の場となる学会参加費(海外含む)、その他消耗品に使う予定である。
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