2013 Fiscal Year Annual Research Report
生薬ブシの神経障害性疼痛治療メカニズムのin vivoイメージング解析
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23790287
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柴田 圭輔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50580411)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / in vivo イメージング / グリア細胞 / 慢性疼痛 / 生薬・漢方 |
Research Abstract |
本研究は、神経障害性疼痛におけるニューロン-グリア連関異常およびその分子メカニズムを、グリア細胞の形態および機能変化から明らかとすることを目的としている。昨年度までに、二光子励起レーザー顕微鏡によるin vivoイメージング実験系を新たに立ち上げ、グリア細胞の形態を長期間観察できる各種遺伝子改変マウス(Iba1- および GFAP--GFPマウス)を用いて、末梢神経損傷後の脊髄および一次体性感覚野でグリア細胞の形態学的変化を検討してきた。最終年度にあたる本年度は、末梢神経損傷により一次体性感覚野で起こるシナプス形態変化およびグリア機能変化を解析し、その関連性について検討した。本年度は、以下の4点を明らかとした。 1, 右側坐骨神経部分結紮により、左側一次体性感覚野のアストロサイトのカルシウム振動頻度が期間限定的に増加すること。2, 右側坐骨神経部分結紮により、左側一次体性感覚野においてグリア関連液性因子X(物質X)が一過性に増加すること。3, 左側一次体性感覚野に物質Xを処置すると、シナプスターンノーバー率が増加すること。4, 左側一次体性感覚野に物質Xを投与すると、慢性的なアロディニア(知覚異常)が形成されること。 過去に、末梢神経傷害により一次体性感覚野において神経回路の組み換え(シナプス再編)が起こり、それが疼痛を慢性化させる原因となることが報告されている(Kim et al., Mol Pain, 2011)。即ち、物質Xは、末梢神経損傷によって起こる一次体性感覚野でのシナプス再編において極めて重要な分子であることが本研究で初めて明らかとなった。現在は、物質Xの発現量を細胞種および時期選択的にコントロールできる遺伝子改変マウスを用いて、グリア性シナプス再編の分子メカニズムの解明を目指して研究を行っている。
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Research Products
(4 results)