2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗うつ薬の新規標的分子としての線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体の機能解析
Project/Area Number |
23790297
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 一恵(久岡一恵) 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (20393431)
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Keywords | 精神薬理学 / 抗うつ薬 / グリア |
Research Abstract |
近年、抗うつ薬が脳の可塑性に作用することが知られ、治療効果との関連が注目されている。本研究は、既存の抗うつ薬の新たな標的分子として、グリア細胞に存在する線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor;FGF)受容体に着目し、抗うつ薬によるFGF受容体活性化機構が、いかにして抗うつ薬の治療効果に寄与するかを明らかとすることを目的として行った。 1、グリア細胞において抗うつ薬(アミトリプチリン)誘導性FGF受容体活性化にはマトリックスメタロプロテアーゼによる内因性FGF-2の遊離が関与することを確認し報告した(Hisaoka K et al., J Biol Chem 286(24): 21118-21128, 2011)。さらに、グリア細胞に発現するマトリックスメタロプロテアーゼのサブタイプ(MMP-2, MMP-3, MMP-9)を同定した。今後は抗うつ薬の作用に関与するマトリックスメタロプロテアーゼのサブタイプとその役割を特異的な阻害薬やsiRNAを用いて探索する予定である。 2、グリア細胞においてアミトリプチリンがモノアミン非依存性の新規薬理作用を介してFGF-2の発現を増加させることを報告した(Kajitani N et al., PLoS One 7(12): e51197, 2012)。 3、研究協力者らの支援により研究参加に関して十分な説明を行った上で文書による同意を得られたうつ病患者の血液サンプルを数例収集し、FGF-2を測定した。今後はさらにサンプル数を増やして、健常者群との比較検討を行う予定である。 本研究結果より既存の抗うつ薬のモノアミン非依存性新規薬理作用としてFGF-2およびFGF受容体の関与が示唆された。今後、FGFと抗うつ効果との関連性を明らかにすることで新規抗うつ薬の開発に貢献することが期待される。
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Research Products
(5 results)