2011 Fiscal Year Research-status Report
一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスを用いた大動脈瘤/大動脈解離発症の解明
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23790300
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 久美子 琉球大学, 医学部附属病院, 特命助教 (10568687)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 一酸化窒素合成酵素 / 大動脈瘤 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
一酸化窒素合成酵素系は、生体の恒常性の維持に重要な役割を果たしており、動脈硬化の発症進展に、一酸化窒素合成酵素系の破綻が関与していることは広く知られている。ところが動脈硬化を基盤とした病態のうち、冠動脈疾患と比較して、大動脈瘤/大動脈解離については、その成因については多くが不明で、外科的手術や血管内治療以外の、根本的治療に結びつく内科的治療では、有効な治療薬はいまだ開発されていない。そこで3種類の一酸化窒素合成酵素のすべてが欠損した一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスを用いて、大動脈瘤/大動脈解離形成モデルを樹立し、当該疾患における一酸化窒素合成酵素の役割や相互作用を解明することを着想した。この一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスでは、野生型マウスに比較し、生存率が低く、死因の半分以上が自然発症の心筋梗塞で死亡していることが判明しており、さらに内臓脂肪型肥満、高血圧、脂質代謝異常、耐糖能異常、インスリン抵抗性などいわゆるメタボリックシンドロームの病態を表現型として有しており、大動脈瘤/大動脈解離の病態を解明するうえで非常に有用なモデルである。本研究では、一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスに対して高脂肪食を3から6か月間投与し、浸透圧ミニポンプを用いてアンギオテンシンII持続皮下投与を行うことで、効率的に大動脈瘤/大動脈解離を形成することをまず目標とした。現在、大動脈の継時的変化、形態学的特徴を解析し、大動脈以外の心血管系、臓器障害について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスに対して、高脂肪食とアンギオテンシンIIを負荷し、特に腹部大動脈が形態学的に拡大傾向にあることが確認された。また、血圧や血漿総コレステロール値をはじめ生理代謝物質の解析も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
一酸化窒素合成酵素3種類それぞれの欠損マウスについても大動脈瘤/大動脈解離を作成し、一酸化窒素合成酵素個別の役割や相互作用、代償機構について検討する。そして大動脈瘤/大動脈解離形成進展における分子機序を解明し、新しい内科的治療法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の遂行に必要な設備・備品については、すべて現有しており、研究費は主に、実験試薬・実験器具の購入、マウスの飼育管理費等に充てる予定である。
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