2013 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスを用いた大動脈瘤/大動脈解離発症の解明
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23790300
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 久美子 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (10568687)
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Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 大動脈瘤 / 大動脈解離 / メタボリックシンドローム / 動脈硬化 |
Research Abstract |
近年のメタボリックシンドロームの増加により、大動脈瘤や大動脈解離などの動脈硬化性疾患が増加し、その征圧が我が国の医療における喫緊の課題となっている。しかし、大動脈瘤/大動脈解離の成因は未だ十分に解明されていない。一酸化窒素は、生体の恒常性の維持に重要な役割を担っている。一酸化窒素合成酵素には、神経型、誘導型、内皮型の3つのアイソフォームが存在する。過去に、すべての一酸化窒素合成酵素アイソフォームを欠損させた一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスがメタボリックシンドロームや急性心筋梗塞を自然発症することが報告されている。これらの背景を踏まえて、本研究では、大動脈瘤/大動脈解離の成因を明らかにするために、一酸化窒素合成酵素系完全欠損マウスにアンジオテンシンIIを投与して、大動脈瘤/大動脈解離が惹起されるか否かを検討した。2ヶ月齢のオスの一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスを実験に使用した。この一酸化窒素合成酵素完全欠損マウスに高脂肪食を3ヶ月から6ヶ月間経口投与し、さらに、アンジオテンシンIIを浸透圧ミニポンプを用いて高脂肪食投与の最後の1ヶ月間皮下投与し、大動脈の形態学的変化を解析した。高脂肪食/アンジオテンシンII負荷を行うと、半数前後のマウスが経過中に死亡した。しかし、死亡したマウスに大動脈瘤や大動脈解離は認められなかった。経過中死亡しなかったマウスの大動脈を単離し、その形態をマクロで観察したところ、一部のマウスにおいて大動脈径の拡大が認められたが、ほとんどのマウスでは大動脈径の拡大は認められなかった。また、大動脈解離の所見も見られなかった。考察として、高脂肪食の組成(コレステロール含有量、コール酸の有無)やアンジオテンシンIIの投与期間に検討の余地があると考えられた。
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[Journal Article] Long-Term Treatment with San’o-shashin-to, a Kampo Medicine, Markedly Ameliorates Cardiac Ischemia/Reperfusion Injury in Ovariectomized Rats via the Redox-Dependent Mechanism.2013
Author(s)
Sakanashi M, Matsuzaki T, Noguchi K, Nakasone J, Sakanashi M, Uchida T, Tanada M, Kubota H, Arakaki K, Tanimoto A, Yanagihara N, Sakanashi M, Ohya Y, Masuzaki H, Ishiuchi S, Sugahara K, Tsutsui M.
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Journal Title
Circ J. 2013
Volume: 77
Pages: 1827-1837
DOI
Peer Reviewed