2011 Fiscal Year Research-status Report
シクロフィリンA‐CD147シグナル系を基盤とした関節リウマチの新規病態分子機構
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23790311
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西奥 剛 福岡大学, 薬学部, 助教 (90435115)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | シクロフィリンA / CD147 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
シクロフィリンA(CypA)はイムノフィリンファミリーのひとつで、細胞質に存在するタンパク質であるが、炎症病態時には細胞外へ遊離される。この細胞外CypAの受容体として同定された分子がCD147であり、がん細胞の浸潤転移の大役を担っている。これまでの研究により、CypAとCD147は、MMPの発現誘導、血管新生、細胞の接着や遊走など多面的機能を有することが示唆されている。しかし、関節リウマチ病態の発症・進展における細胞外CypAならびにCD147の役割についてその詳細は不明である。本研究では、関節リウマチの炎症・骨破壊進展におけるCypA‐CD147シグナルの分子病態機構を明らかにする。 関節リウマチのモデル動物であるコラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスを作製し、その肢関節におけるCyp AとCD147の発現変化を検討した。Cyp AとCD147の発現は、対照群と比較してCIAマウスにおいて著明に増加していた。また発現増加したCD147はマクロファージに局在していることが明らかとなった。CIAマウスより滑膜線維芽細胞を単離、培養し、その培養上清を用いてCyp Aの細胞外遊離について検討した。CIAマウスより単離した滑膜線維芽細胞の培養上清中においてCyp Aが検出され、さらに、この滑膜線維芽細胞からのCypAの遊離はLPS刺激により有意に増加した。C57BLマウスの骨髄由来マクロファージを用いて、細胞外CypAによるCD147の発現変化について検討した。CypA刺激によりマクロファージにおけるCD147の発現が有意に増加した。 関節リウマチ病態下において発現増加するCypAは、増殖した滑膜線維芽細胞から遊離され、TLR-4刺激によりその遊離が増大することが示唆された。細胞外に遊離されたCypAは、浸潤したマクロファージのCD147発現を増大させることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究成果は、論文にまとめ投稿中である。現在、ヒト滑膜毛細血管内皮細胞を用い、細胞外CypAによる細胞接着分子(ICAM-1ならびにVCAM-1)の発現変化ならびに単球の接着について検討を行っている。また、交付申請書の平成24年度実験計画に記載した、骨破壊におけるCypA-CD147シグナルの役割について、マウスより破骨細胞を調整し予備検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞への分化におけるCypAとCD147の役割について検討する。マウスより単球を単離し、CypAが破骨細胞の分化を促進させるか、TRAP染色、カテプシンK活性、骨吸収測定にて検証する。CD147が破骨細胞分化に関与するか、抗CD147抗体による阻害実験ならびにsiRNAによるCD147のノックダウンにより検証する。さらに、破骨細胞分化におけるCD147とRANKとの相互作用について、免疫沈降、シグナルの阻害実験を行い検討する。 In vivo骨破壊実験としては、ICRマウスを用いRANKLとCypAを浸み込ませたコラーゲンを頭蓋骨上に植え込み、高速in vivo X線マイクロCTスキャナにより頭蓋骨の骨密度を測定し、CypAとCD147の相互作用が破骨細胞の分化を促進させるか検討する。抗CD147抗体ならびに抗CypA抗体を用いてCypAならびにCD147の関与について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度請求額(直接経費)160万円は主に消耗品購入に使用する。実験動物は、関節リウマチモデルマウス作成、細胞採取ならびに骨量の解析に使用し、約50匹(約20万円)の使用を見込んでいる。また血清や培養液等の培養関連試薬・培養器具として60万円を使用予定である。解析に各種抗体ならびに試薬が必要であり、50万円を使用予定である。学会発表を年2回とし、リウマチ学会あるいは薬理学会で成果を報告する予定で国内旅費として30万円を使用予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Brain pericytes among cells constituting the blood-brain barrier are highly sensitive to tumor necrosis factor-α, releasing matrix metalloproteinase-9 and migrating in vitro.2011
Author(s)
Takata F, Dohgu S, Matsumoto J, Takahashi H, Machida T, Wakigawa T, Harada E, Miyaji H, Koga M, Nishioku T, Yamauchi A, Kataoka Y.
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Journal Title
Journal of neuroinflammation
Volume: 8
Pages: 106
DOI
Peer Reviewed
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