2012 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞におけるクロマチン構造タンパク質HMGN3の機能解明
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23790323
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
倉橋 敏裕 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00596570)
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Keywords | HMGN / クロマチン / 膵β細胞 |
Research Abstract |
クロマチン構造蛋白質であるHMGNファミリー蛋白質はクロマチンに結合し様々な核内反応の制御において重要な役割を担っていることが示されてきた。一方で、HMGNファミリー蛋白質がどのような高次生命現象の制御に関与しているかは不明な点が多い。また、HMGNファミリー蛋白質間での機能的な重複性などに関しても不明である。そこで、独自に作成したHMGNファミリー蛋白質全てに対する抗体、遺伝子欠損マウス、および培養細胞系を用いて、上記の解明に取り組む。特に本研究では組織特異的発現が認められるHMGN3に着目し、多くの組織に偏在するHMGN1との比較も含めて解析した。 得られた結果1)HMGN3は他のメンバーと異なり脳や膵臓で発現が高い 。2)HMGN3欠損マウスは糖尿病様の表現型を示す。3)HMGN3は膵臓の内分泌細胞α、β、δ、PP細胞全てにおいて発現している。4)HMGN3をマウス胎仔線維芽細胞(MEF)において過剰発現させても遺伝子発現プロファイルに影響を与えなかったが、マウス膵β細胞由来MIN6細胞に過剰発現させると多くの遺伝子発現に影響を与えた。一方で、HMGN1はMEFにおいて遺伝子発現プロファイルに影響を与えたが、MIN6においてはHMGN3に比べ影響が小さかった。5)HMGN1はPCNAと相互作用し、DNA損傷時にPCNAがクロマチンにリクルートされるのを促進した。 これらのことから、HMGN3は組織・細胞特異的に発現しているが、のみならず、組織・細胞特異的な蛋白質ネットワークの中で機能し、その組織・細胞特異的な機能発現に関与していることが示唆された。一方でHMGN1は、PCNAというより普遍的な因子の機能発現に関与していることが示唆されたことなどから、HMGN1そのものも、その発現様式にたがわず組織・細胞間に普遍的な生命現象の制御機構に関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)