2012 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞性の維持におけるインターフェロンシグナル制御システムの意義
Project/Area Number |
23790326
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 卓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任助教 (40375259)
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Keywords | 表皮幹細胞 / インターフェロン / 幹細胞性 |
Research Abstract |
本申請研究の目的は、「IRF2を介したIFNシグナル制御がどのように幹細胞の機能維持に貢献しているかを明らかにする」ことである。Irf2-/-マウスは、脱毛や皮膚病変が加齢とともに認められるとともに、この現象がIFNシグナル制御異常によってもたらされることが既に判明している。従って、同マウスでは種々の組織幹細胞の中でも表皮幹細胞が、IFNシグナルの影響を最も強く受けている可能性が考えられる。また、表皮幹細胞の場合には、その機能異常が、脱毛や過形成といった極めて分かりやすいリードアウトとして観察できる点からも、同幹細胞系を観察対象として、IFNシグナルの組織幹細胞への影響を検討することは、研究目標を達成するうえで最も有用と考えられる。 H24年度は、まず、23年度の作製したIrf2-/-マウスを背景とする表皮幹細胞レポーターマウス(Irf2-/-; Lgr5-EGFP-Ires-CreERT2; Rosa26-LacZレポーターマウス、及びIrf2-/-; Lgr6-EGFP-Ires-CreERT2; Rosa26-LacZレポーターマウス)を用い、加齢(脱毛及び皮膚病変形成過程)に伴う表皮幹細胞の数的変化を検討した。その結果、Lgr5陽性の毛包形成に関わる幹細胞及びLgr6陽性の表皮及び皮脂腺形成に関わる幹細胞いずれもが、加齢に伴い、脱毛及び表皮過形成を生じたマウスでは減少していた。さらに、これらレポーターマウスを用いて、細胞系譜追跡実験を行ったところ、過形成した表皮や皮脂腺は、Lgr6幹細胞に由来していることが判明した。従って、Irf2-/-マウスの皮膚環境におかれたLgr6幹細胞の場合では、幹細胞性が保たれず過剰な分化を起こしてしまっていると考えられた。他方、Lgr5陽性幹細胞は、表皮過形成に関与しておらず、現時点において同細胞が減少する要因は不明である。
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Research Products
(1 results)