2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の分裂増殖を制御する新たなシグナル伝達ネットワークの解析
Project/Area Number |
23790331
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 誠 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30335244)
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Keywords | 細胞質分裂 / 細胞内シグナル伝達 / 細胞増殖 / X線結晶構造解析 / 遺伝子発現制御 / 癌 |
Research Abstract |
課題1:我々は以前にIQGAP3が分裂増殖している細胞にのみ特異的に発現していることを見出しており、平成23年度までにそれを制御する転写因子の候補を複数同定することに成功した。ただ平成24年度は他の研究課題に労力を取られたため、それらの候補の中からの絞り込みを含め、この課題については殆ど研究の進展が見られなかった。 課題2:我々は平成23年度までに、IQGAP3が哺乳類の分裂期の細胞の分裂溝に局在し、細胞質分裂の制御に関わっていることを見出している。平成24年度においては、IQGAP3自身の分裂溝への局在機構の解明、およびIQGAP3が分裂制御を行なう上での直接のエフェクターを同定することにそれぞれ成功した。これらについて論文を投稿中である。ただし今回明らかになったメカニズムが、我々が以前見つけたIQGAP3によるRasを介したG1/S期(G2/M期)の制御とどのような分子機能上の関連があるのかについては、今後の検討課題として未検討のままである。 課題3:平成23年度までの様々なデータベースの解析から、IQGAP3の発現と複数の癌種との間に強い関連があることが見出されており、これを踏まえ平成24年度はその分子メカニズムの解明および機能的意義を明らかにすることを計画していたが、他の課題との兼ね合いで殆ど研究を進めることが出来なかった。 課題4:IQGAP3のRasGAPドメインを介したRasへの作用の分子メカニズムを解明することを目的とし、平成24年度においてはRasGAPドメインの組換え蛋白質を安定的に発現精製すること、およびこの蛋白質を用いて比較的形の良い結晶を再現性良く作ることにそれぞれ成功した。現在はこの結晶を用いたX線結晶構造解析を行なう準備を進めている。
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