2012 Fiscal Year Annual Research Report
表皮バリア形成における小胞体膜貫通型新規リパーゼ様タンパク質の役割
Project/Area Number |
23790334
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大垣 隆一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20467525)
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Keywords | 表皮バリア / 角質細胞間脂質 / 脂質代謝異常 |
Research Abstract |
皮膚に高発現する新規リパーゼ様因子LOG1の遺伝子ホモ欠損マウス(以下KOマウス)は、表皮バリアの破綻による過剰な乾燥によって、生後1日程度で致死となる。本研究は、LOG1欠損が引き起こす脂質代謝異常を明らかにし、表皮バリア形成に必須のLOG1機能を解明することを目的として実施した。前年度の解析により、KOマウス角質における水透過性の上昇、表皮組織中の有棘層・顆粒層における遺伝子発現、ケラチノサイト初代培養系における細胞膜局在などを明らかにし、KOマウスの角質細胞間脂質に異常があることを示唆するデータを得た。 平成24年度は、LOG1欠損が引き起こす脂質代謝異常を明らかにするうえで重要な脂質変動解析を実施した。角質細胞間脂質を抽出し網羅的なリピドミクス解析を実施した結果、興味深いことにLOG1欠損の影響は遊離脂肪酸、モノアシルグリセロール、セラミドを中心に広範の脂質サブクラスにまたがって認められた。そのため、脂質組成変動のプロファイルからLOG1が直接的に関与している代謝過程を見出すことは困難であった。しかし、特に顕著な変動がセラミドにおいてみられ、KOマウスでは角質細胞間脂質の主成分であるセラミドの総量が半減していることが明らかとなった。また、ヒトにおいてもバリア機能異常を伴う疾患との深い関連が報告されている特定のクラスのセラミド分子種については、野生型マウスに比べてKOマウスで大幅な減少を認めた。以上より、LOG1マウスにおける表皮バリア破綻の分子レベルの機序として、セラミド分子の大幅な減少にともなう角質細胞間脂質の異常が直接の原因となっていることを明らかにすることができた。LOG1がセラミド合成に与る代謝過程に直接関与しているか、あるいはLOG1が関与する代謝過程の反応生成物がこれまでに知られていないセラミド保持機構に重要な寄与を果たしているものと考えられる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] NRFL-1, the C. elegans NHERF orthologue, interacts with amino acid transporter 6 (AAT-6) for age-dependent maintenance of AAT-6 on the membrane.2012
Author(s)
Hagiwara K, Nagamori S, Umemura YM, Ohgaki R, Tanaka H, Murata D, Nakagomi S, Nomura KH, Kage-Nakadai E, Mitani S, Nomura K, Kanai Y.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 7
Pages: e43050
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Transport of 3-fluoro-L-alpha-methyl-tyrosine by tumor-upregulated L-type amino acid transporter 1: a cause of the tumor uptake in PET.2012
Author(s)
Wiriyasermkul P, Nagamori S, Tominaga H, Oriuchi N, Kaira K, Nakao H, Kitashoji T, Ohgaki R, Tanaka H, Endou H, Endo K, Sakurai H, Kanai Y.
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Journal Title
Journal of Nuclear Medicine
Volume: 53
Pages: 1253-1261
DOI
Peer Reviewed
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