2012 Fiscal Year Annual Research Report
殺菌に重要な食細胞NADPHオキシダーゼを構成する膜蛋白質の相互作用機構の解析
Project/Area Number |
23790338
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮野 佳 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60444783)
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Keywords | NADPHオキシダーゼ / Nox / 活性酸素 |
Research Abstract |
好中球は生体内に侵入してきた病原体を捕らえ、それを殺菌する。この際、殺菌剤として用いられるのが種々の活性酸素種(過酸化水素、次亜塩素酸等)である。この活性酸素種の前駆体であるスーパーオキシドを生成する酵素系が殺菌に重要な食細胞NADPHオキシダーゼである。NADPHオキシダーゼは複数のタンパク質から構成され、活性中心は6回膜貫通タンパク質のNox2(別名gp91phox)である。Nox2には、その分子内に電子を細胞質のNADPHから受け取りフラビンと膜貫通領域内の2つのヘムを介して細胞外(食胞内)の酸素分子へ伝えるためのすべての電子伝達系が含まれている。Nox2の重要性は、その遺伝的欠損が幼少期より重篤な感染症を繰り返す慢性肉芽腫症を引き起こすことからも示される。本研究では、Nox2を安定化し、また活性化タンパク質のドッキング領域としても機能するパートナー分子p22phoxとNox2間の結合様式について新しい知見を得ることができた。具体的には、Nox2とp22phoxが互いの特定の膜貫通セグメントを介して結合していること、さらにNox2の細胞質領域もp22phoxとの結合に関わっていることを見出した。また、報告されているアミノ酸置換によって引き起こされた慢性肉芽腫症のいくつかの症例と今回同定した結合領域を照らせ合わせ、それらのアミノ酸置換変異体のp22phoxとの結合能が失われていることを実験的に実証することにより、Nox2とp22phox間の結合が失われることが慢性肉芽腫症の発症の原因の一部になり得ることを見出した。
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Research Products
(6 results)