2012 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞の機能のダイナミズムを制御する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
23790346
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関谷 高史 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80519207)
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Keywords | 免疫学 / 自己免疫疾患 / 制御性T細胞 / アレルギー |
Research Abstract |
免疫システムは、多種多様な病原体の排除を担う正の免疫応答と、自己分子や無害な抗原に対する反応を抑制する負の免疫応答を、同一個体内で的確に制御しなければならない。この相反する機能の的確な作動において中心的な役割を担うのがCD4陽性T細胞である。本研究では、最初の研究成果として核内受容体Nr4a2がCD4陽性T細胞分化制御における重要な因子であることを見出し、日本免疫学会学術総会にて発表を行った。次に、Nr4a2に着目し研究を進めていく過程で、Nr4aファミリーに属するNr4a1、Nr4a3による機能重複が明らかとなった。Nr4a2の単独欠損マウスではTregは正常に分化し、自己免疫疾患の発症も見られない。そこで、それら3分子全てをT細胞特異的に欠損させたマウス個体の作製を行った。その結果、これらのマウス個体ではTregの分化は全く見られず、一方で炎症性ヘルパーT細胞の過剰な分化亢進が確認され、マウスは全身性の自己免疫疾患により生後3週間以内に死亡することを明らかとした。さらに、胸腺におけるT細胞発生過程でNr4aの活性を調節し、そのCD4陽性T細胞分化に対する作用の解析を行った。従来、胸腺におけるCD4陽性T細胞発生では、自己抗原に対する親和性の高い細胞クローンにはアポトーシスの誘導(ネガティブセレクション)やTreg分化が誘導され、免疫系の恒常性の維持の基盤となることが知られていたが、その分子機序の多くが未解明であった。しかし本研究により、Nr4aがその細胞運命決定を担うキーファクターであることを解明した。これらの研究により、Nr4aはCD4陽性T細胞の分化制御を担う最も重要な因子の一つであることを明らかとし、研究成果をNature Immunology誌にて発表した。
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Research Products
(3 results)