2012 Fiscal Year Annual Research Report
消化管分化の観点に立った胃癌の発症・進展・組織型決定の分子基盤の解明
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23790355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山道 信毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30463897)
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Keywords | 胃癌 / 消化管分化 / 腸上皮化生 / Cathepsin E |
Research Abstract |
【結果】胃癌の分化型・未分化型で発現が異なると報告された約50遺伝子について、胃・大腸癌由来細胞30株で発現解析を行なった。胃印環細胞癌sig由来株・低分化腺癌por由来株で強発現し、高~中分化型管状腺癌tub1/tub2由来株で発現の弱いCathepsin E(CTSE)に注目して、胃sig癌外科切除51検体を調べたところ、全症例で癌部のCTSE発現を認めた。他組織型の外科切除67検体では、tub1 30%(3/10例)、tub2 39%(7/18例)、乳頭腺癌pap 40%(4/10例)、por 58%(15/26例)、粘液癌muc 0%(0/3例)と発現は様々であったが、sigのような高いCTSE発現は認めなかった。次に胃癌・胃腺腫の内視鏡治療切除検体におけるCTSE発現スコア(0~4点)を調べると、sig:3.6±0.4、adenoma:1.3±0.2、tub1:1.7±0.1、tub2:2.3±0.3、pap:2.1±0.3と、sig>tub2≒pap>tub1>adenomaの順にCTSE発現が低下していた。一方、病変周囲の正常胃粘膜におけるCTSE発現スコアは、sig:3.9±0.1、adenoma:3.2±0.3、tub1:3.0±0.1、tub2:2.2±0.1、pap:2.6±0.2であった。 【結論】CTSEは胃印環細胞癌の有用なマーカーであり、胃印環細胞癌は『胃型形質が保たれ、腸型形質の発現が少ない』背景粘膜から、同じように『胃型形質が保たれ、腸型形質の発現が少ない』癌として発生することが示唆された。一方、胃分化型管状腺癌・胃腺腫は『胃型形質発現が失われた』背景粘膜であるほど『胃型形質発現が強く、分化度の低い』癌(腺腫)が発生し、『腸型形質の発現が強い』背景粘膜であるほど、『腸型形質発現が強く、分化度の高い』癌(腺腫)が発生することが示唆された。
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Research Products
(13 results)