2011 Fiscal Year Research-status Report
アポCIIIの動脈硬化における役割-新規遺伝子改変ウサギによる検討
Project/Area Number |
23790359
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小池 智也 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (40432158)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アポリポ蛋白CIII / ウサギ |
Research Abstract |
アポリポ蛋白CIII(アポCIII)は、トリグリセリド(TG)-richリポ蛋白の主要な構成蛋白であり、最近の臨床研究の結果から、アポCIIIが動脈硬化の発生進展に深く関与する可能性が示唆された。アポCIIIの解析において、マウスのアポCIIIと脂質代謝系はヒトとは大きく異なるため、本研究では、ヒトと類似したアポCIIIと脂質代謝系を持つウサギを用いて、ヒトアポCIIIトランスジェニック(Tg)ウサギを開発し、脂質代謝と動脈硬化におけるアポCIIIの役割を明らかにすることを目的とした。 本年度は、アポCIIIトランスジェニックウサギを作製すべく、マイクロインジェクションを行った。まず受精卵採卵のため、採卵ドナーウサギに対してFSHによる過排卵処置を行い、♂ウサギとの交配を行った。19時間後に卵巣と卵管を取り出し、培養液にて受精卵を洗い出した。採取した受精卵の雄性前核にアポCIIIの遺伝子コンストラクトを注入した。1羽のレシピエントウサギあたり、30個の受精卵を子宮に戻し、妊娠を誘発するためhCGを静注した。2週間後に腹部を触診し、妊娠の有無を確認した。1ヶ月後に出産した子ウサギの数を確認し、耳組織を一部採取し、ゲノムDNAを抽出して、ゲノムPCRにより遺伝子が導入されているかをチェックした。平成23年度中には、125羽のウサギから受精卵を採取し、29羽の子ウサギが生まれたものの、死産などもあり、アポCIII遺伝子が導入された子ウサギは得られなかった。そのため、ドナーウサギの卵の質の確認など行い、改善を加えながら、現在もマイクロインジェクションを継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アポリポ蛋白CIII遺伝子を導入されたトランスジェニックウサギを初年度に開発する予定であったが、それがかなわなかった。しかし、マイクロインジェクション後にレシピエントに戻した受精卵が子ウサギとして出生できているため、トランスジェニックウサギの誕生は時間の問題と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度計画でTgウサギ作出に至らなかったため、それ以降の実験計画(Tgウサギの遺伝子解析と脂質代謝に関係した表現型解析、繁殖)に必要となる経費が残存した。H24年度は、当初H23年度に完了する予定であった、Tgウサギ作出、表現型解析、繁殖と、H24年度に行う予定の動脈硬化実験までを行うことを計画しているため、H23年度残額分とH24年度分の経費を使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度で実現出来なかったマイクロインジェクションのためのウサギの購入と消耗品の購入、ウサギの遺伝子検査のためのゲノム抽出とPCR用消耗品、脂質代謝解析までの研究を昨年度の残存金にて行い、H24で行うことが当初から予定されていた動脈硬化研究に関する消耗品(血液成分測定キット、特殊餌の購入など)にH24に交付される経費を使用する。また、国内学会(実験動物学会、動脈硬化学会)への出席に旅費を使用する。
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