2011 Fiscal Year Research-status Report
ガングリオシド欠損によるグリア細胞活性化機構の解明
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23790361
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大海 雄介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), COE特任助教 (10584758)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | グリア / ニューロン / ガングリオシド / ミクログリア / アストログリア / 神経変性 / 炎症 / ミクロドメイン |
Research Abstract |
ガングリオシド欠損に伴うグリア細胞の異常活性化とグリア細胞の分別的役割を検討するために以下の検討を行った。 まず、ガングリオシド欠損に起因するアストロサイトとミクログリアの活性化の機序を解明するため、WT, DKOマウスの脳組織切片を用いて、細胞膜構造の変化に基づく異常活性・増殖の検討を行った。アストログリアでのGFAP発現、ミクログリアのサブタイプであるM1、M2の選別的抗体染色の条件検討から開始した。GFAPによるアストロサイトの検出は順調に実施された。ミクログリア全体の検出はIba1で明瞭に可能であり、DKOにおいて明らかに強く染色された。一方、M1のマーカーであるiNOS抗体では染色が順調に進まず、抗体の再購入を余儀なくされた。M2マーカーであるアルギナーゼ1抗体での染色は、脳組織全体が軽度に染色され、再検討中である。 さらにガングリオシド欠損により活性化したグリア細胞がいかに炎症・神経変性を惹起するかを解明するため、WTマウス由来のニューロンに対するWT, DKO 初代培養グリアの作用を検討すべく、ニューロンの初代培養技術を、宮崎大学医学部の高宮考悟研究室に赴いて習得した。現在、KOマウス脳を用いて検討を開始した。 ガングリオシド欠損によってアストロサイトがどのような機序で活性化するのかを検討するため主にマウス初代培養グリアを用いて下記の実験を行った。マウス新生仔脳からアストロサイトを単離し、初代培養細胞を樹立した。持続震盪法により、アストログリアとミクログリアを分離することに成功した。次に、初代培養アストロサイトの活性化を検討するため、炎症性サイトカイン(TNFα, IL-1β, IL-1α, IL-6, IFNγ)の産生をreal time RT―PCRおよびELISAによって検討し、DKOにおいて出生時に既に発現上昇の傾向が見られることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、グリア細胞の初代培養法を、名古屋大学環境医学研究所の錫村博士に教わり、新生児脳を用いて試行錯誤を重ねてきたことから、比較的順調に培養法が確立可能であった。また、脳神経系組織における炎症性サイトカインの遺伝子発現やELISAによる測定についても一定に習熟していたため、比較的順調に測定が可能であった。一方、マウス初代培養細胞を用いた、サイトカインの感受性がガングリオシド欠損によって亢進するかの検討に関しては、LPSなどの刺激に対する反応を見るなどの予備実験で再現性がとれず、まだ軌道に乗っていないのが現状である。IL10Rの発現、IL10の分泌に関しては、これからの課題になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、上記の、ミクログリアのサブタイプの抗体による分別的染色方法の確立をいち早く進める。あわせて、ニューロンとグリアの共培養によるニューロンへのグリア細胞の影響の観察とその制御法の検討を協力に進める。さらに脳血液関門の形態学的ならびに機能的な測定、移植実験による神経変性の責任細胞の解析を同時に進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のいくつかの計画に沿って、必要な消耗品の購入に大部分をあてる。また、必要な、研究打合わせ、学会発表のための費用としても使用したい。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Functional activation of Src family kinase yes protein is essential for the enhanced malignant properties of human melanoma cells expressing ganglioside GD3.2011
Author(s)
Hamamura K, Tsuji M, Hotta H, Ohkawa Y, Takahashi M, Shibuya H, Nakashima H, Yamauchi Y, Hashimoto N, Hattori H, Ueda M, Furukawa K, Furukawa K
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 286(21)
Pages: 18526-18537
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Regulatory mechanisms of malignant phenotypes of human cancers by tumor-associated carbohydrate antigens in the microdomains.2011
Author(s)
Koichi Furukawa, Kazunori Hamamura, Yuki Ohkawa, Noboru Hashimoto, Yuhsuke Ohmi,Yoshio Yamauchi, Keiko Furukawa:
Organizer
The 31st Naito Conference on Glycan Expression and Regulation[II]:Metabolites, Stress Response, Microdomains, and Beyond
Place of Presentation
Sapporo, Japan
Year and Date
2011, 9,15
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