2012 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム介入標的としてのp38α作用機構
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23790362
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
大隈 貞嗣 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70444429)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 炎症 / シグナル伝達 / マクロファージ |
Research Abstract |
近年、メタボリックシンドロームの発症には炎症メカニズムの関与が必要であることが明らかにされつつある。 炎症制御の中心的因子であるp38αの血管血球系ノックアウトマウスを作製することにより、炎症制御によるメタボリックシンドロームへの介入メカニズムを検討した。Cre-loxPシステムを用いて血管血球系特異的p38αコンディショナルノックアウトマウス(p38α血管血球系cKOマウス)を作製した。p38α血管血球系cKOマウスでは、通常食では野生型との顕著な差は認められなかったが、高脂肪食投与時には、耐糖能試験およびインスリン抵抗性試験により、インスリン抵抗性が抑制され、また加えて体重増加および肥満が抑制されることを見いだした。 この時、p38α血管血球系cKOマウスでは脂肪組織におけるTNAFα、IL-1、IL-6といった炎症性サイトカインの発現が減少していること、脂肪組織へ浸潤する炎症性マクロファージが減少し、また炎症性マクロファージにおけるケモカインレセプターの発現が低下していることを明らかにした。これらことから、p38αは脂肪細胞における慢性炎症を介してインスリン抵抗性を制御していることが示唆された。 さらに、p38α血管血球系cKOマウスでは肝における脂肪酸結合因子FABPの発現が低下していたことから、血球細胞におけるp38αはなんらかの経路を介して肝における脂質代謝へ影響し、肥満を制御している可能性が示唆された。 これらの研究結果は、血球細胞、おもにマクロファージにおけるp38αを介したシグナル伝達が、インスリン抵抗性および肥満という二つの経路を介して個体レベルの代謝を制御していることを示す、初めての知見である。p38αおよびその上下のシグナルを検討することで、インスリン抵抗性および肥満に対して新たな介入手段を提案するものである。
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Research Products
(3 results)