2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790366
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北谷 和之 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (40539235)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | スフィンゴ脂質 / セラミド / GBA1 / p38 / ゴーシェ病 |
Research Abstract |
Aim-1;サルベージ経路由来セラミドによる炎症性キナーゼp38δの不活化調節機構の解明サイトカイン,ケモカインやマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は炎症に深く関わる分子である。これらの炎症性分子の生成は,p38 の活性化に依存している部分が多い。これまで, GBA1 を介して生成されたセラミドが p38δ を不活化することを明らかにした。これらより,GBA1-セラミド経路が一連の p38δ 依存的な炎症性メディエーター生成を抑制する可能性が考えられる。まず,p38δの炎症性分子誘導への関わりを,siRNAを用いて検索した.TNF-alpha 刺激は炎症性分子(MCP-1, CCL4, CXCL1, CXCL10, CXCL2, CXCL3, Fos, IL-6, IL-8, IL-9, IL23-R, TNF-alpha)の生成を促進し,このうちsiRNAによるp38δノックダウンによりCCL2/MCP-1, CXCL12, CXCL3, TNF-alpha, IL6の生成は抑えられた.したがって,これらの炎症性分子のp38δ依存的な誘導が炎症性分サルベージ経路由来セラミドにより制御される可能性を示唆している.Aim-3;サルベージ経路欠損動物での炎症性病態の解析変異 GBA1 を knock-in することで作製したゴーシェ病マウスモデルの炎症病態を分子病理学/生化学/分子生物学的に検証した.まず,炎症性サイトカインIL6の血清中濃度を測定したところ,ゴーシェ病マウスモデルGBA1活性低下が野生型に比して有意に上昇することが判明した.さらに,ゴーシェ病マウスモデル各組織(肺および肝臓)において,p38の活性化が野生型に比し著しく増加していることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特定試薬納品が遅れ,さらにモデルマウスの繁殖が遅延したため.
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Strategy for Future Research Activity |
Aim-2;サルベージ経路による炎症性細胞応答の制御炎症性細胞の組織浸潤は,炎症での重要なステップである。p38 は炎症性細胞の遊走能亢進に関与するが,特異的なアイソフォームの関与は明らかではない。炎症性細胞に代表されるマクロファージでは,p38δ が主要なアイソフォームであることから, p38δ は細胞遊走の亢進に寄与する可能性が考えられる。ここでは,p38δ の細胞遊走への関与とサルベージ経路セラミドによる活性調節を分子レベルで解き明かす。まず,高い細胞遊走/浸潤能をもつ 乳癌細胞での, 化学走化性/遊走能への p38δ siRNA の効果を検索し,p38δ の関与をさらに,サルベージ経路の活性制御への寄与を GBA1 阻害剤,リコンビナント GBA1,遺伝子の過剰発現または siRNA を用いて検索する。さらに,サルベージ経路セラミドシグナルの一連の作用点と分子機序を明らかにする。Aim-3;サルベージ経路欠損動物での炎症性病態の解析ゴーシェ病マウスモデルを用いて,血液や組織でのスフィンゴ脂質量を定量質量分析,炎症性細胞の遊走/浸潤,特異的 p38 isoform(s) の活性化,炎症性分子産生を解析する。これにより,サルベージ経路-セラミド生成の不足による炎症性病態形成を生体レベルで分析する。i) 組織免疫染色分析:免疫染色によりp38の活性化およびその炎症性細胞を同定し,炎症性組織を分子病理学的に解析する。ii) 生化学/分子生物学的分析:血清でのセラミド量を質量分析,新規炎症性分子を ELISA 法により定量する。また,上記の組織検体でのセラミド量,炎症性分子の mRNAs およびタンパク質量を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養プラステック器具,培地および血清類,生化学試薬,分子生物学的試薬,一般試薬などの消耗品への経費が大半であるが,動物飼育および研究成果発表費用も計上した.さらに,次年度使用研究費925,558円が生じたが,これらは動物飼育費および炎症性分子を標的としたアレイの購入にあてられる.
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] SMS1-generated sphingomyelin plays an important role in transferring trafficking and cell proliferation2011
Author(s)
Kitatani K., Abdel Shakor A.B., Taniguchi M., Hashimoto M., Asano S., Hayashi A., Nomura K., Bielawski J., Bielawska A., Watanabe K., Kobayashi T., Igarashi Y., Umehara H.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 286
Pages: 36053-36062
Peer Reviewed