2011 Fiscal Year Research-status Report
転写因子ATF1による熱ショック応答の制御機構の解明
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23790368
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
瀧井 良祐 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00419558)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ストレス / 熱ショック / HSP70 / 転写因子 / ATF1 |
Research Abstract |
まず、『HSF1による転写の促進因子』として同定した転写因子ATF1が、どのように熱ショックタンパク質群の発現を制御するのかを明らかにする。1. HSF1を介するHSPの発現とATF1の関連を明らかにする。様々な細胞での、熱ショック応答におけるATF1の効果を明らかにする。2. HSF1とATF1の結合部位を同定する。互いにどの領域で結合し、リン酸化修飾が結合に与える影響を明らかにする。3. HSPプロモーターでのHSF1-ATF1協調制御の分子機構を解明する。HSF1にATF1が結合することでHSP70プロモーター上でどのようなクロマチン修飾やその構造変化が導かれるかを明らかにする。4. ATF1欠損細胞を用いた機能解析および個体レベルでのATF1欠損の影響を調べる。さらに、HSF1-ATF1を介するタンパク質ホメオスタシスへの関与を明らかにする。ポリグルタミン病の細胞ならびにマウスモデルを用いてATF1の効果を調べる1については、様々なマウス由来の細胞を用い、ATF1 family分子が熱依存的なHSP70の発現に関与することを明らかにした。またヒト由来の細胞を用いても同様の結果が示され、種を超えてATF1 family分子の重要性が明らかとなった。2に関しては、HSF1のDNA binding domainとATF1のKID領域を介して、両者が直接的に結合することを明らかにした。今後は、HSP70の発現に両者の結合がどの程度かかわるかを明らかにする。3に関しては、ATF1は熱依存的にHSP70プロモーター上へリクルートされることが明らかとなりそのリクルートはHSF1依存的であることが分かった。一方、ATF1は、HSP70の発現だけでなく、後期における減弱にも関与することが明らかとなり、今後はこの生物学的意義を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画でに示した事柄は、おおむね順調に解析を行っている。また、計画当初に比べ、DNAマイクロアレイ解析を容易に行える環境が整い、さらに計画以上の解析をおこなえている。また、当初予想していたATF1の役割とは異なる新しい役割が明らかなり、最終年度では、この新規のATF1の役割を含め解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
我々がHSF1の結合タンパク質として同定したATF1は、熱刺激によるHSP70の発現を調節することを明らかにした。一方、ATF1がどのようにHSP70の転写を促進するのか未解明の部分が存在し、その分子メカニズムを明らかとする。また、ATF1は、熱刺激後期のHSP70の発現の減弱にも関与することを明らかとしており、その生物学的意義についても明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HSF1-ATF1が関与するHSP70を含む多くの遺伝子を網羅的に解析するために、DNAマイクロアレイ解析を行った。その発現パターンの解析、およびプロモーター部位での解析にtaqポリメラーゼおよびChIP assay kitの購入を中心に、測定用の抗体も購入し執行する。また、ATF1が呼び込む転写活性化及び抑制因子の同定のために、同因子に対する数種の抗体、taqポリメラーゼおよびChIP assay kitを購入し解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)