2012 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子ATF1による熱ショック応答の制御機構の解明
Project/Area Number |
23790368
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
瀧井 良祐 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00419558)
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Keywords | 熱ショック / ストレス / HSF1 / 転写因子 / ATF1 |
Research Abstract |
研究代表者らはHSF1による転写調節機構を明らかにするために、HSF1相互作用タンパク質の解析を行った。30のタンパク質を同定し、その中で、まずHSF1-RPA(DNA複製-修復因子)が、非ストレス条件下でヌクオソームを形成するDNAへの結合に必要であることを報告した(Fujimoto et al, Mol. Cell 2012)。一方、熱ストレス条件でのHSF1複合体については未解明であった。本研究で、世界ではじめて、HSF1による転写誘導に、別の転写因子ATF1が極めて重要な役割を担っていることを明らかにした(未発表)。まず、マウス胎児線維芽細胞(MEF)を用いて、ATF1ファミリー群(ATF1、CREB、CREM)の中でATF1とCREMのノックダウンが、熱ストレスによるHSP70誘導の減弱、及び回復過程の遷延を導くことを明らかにした。両遺伝子のノックダウンは同程度の効果であったので、以降の実験はATF1に焦点を絞った。次に、ATF1は、熱ストレスの際にHSF1に依存してHSP70プロモーターへリクルートされること、そのリクルートにはATF1のDNA活性を必要としないことを明らかにした。さらに、ATF1はBRG1やp300/CBPを呼び込むために必要であった。つまり、ATF1は転写仲介因子群のTethering Factorとして働くことが明らかとなった。これらの結論は、HSF1を介する転写調節機構において新しい分子機構を示している。同時に、HSF1転写複合体が、クロマチン修飾やHSF1自身の化学修飾をどのように書き換えて調節するのか、さらにATF1がDNA障害ストレスによって制御されるがHSF1-ATF1複合体の生理的意義はなにかなど、解明すべき疑問は多く残された。
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