2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規O結合型糖転移酵素BCGT1による乳癌発症・進展機構の解明と臨床応用への展開
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23790369
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 泰佑 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 特任助教 (70533222)
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Keywords | 糖転移酵素 / 乳癌 |
Research Abstract |
我々は前年度までにBCGT1の発現を抑制した際に、乳癌細胞の増殖が抑制されること、ならびに小胞体シャペロンのmRNAおよびタンパク質の発現低下が引き起こされることを明らかにした。小胞体シャペロン分子の発現は小胞体膜上に存在しているPERK、ATF6、IRE1の3つの分子を介した経路によって制御されている。そこで、まずBCGT1の発現を抑制した際に見られた変化が、どの分子経路を介して生じているか明らかにするために、siRNA処理によりBCGT1の発現を抑制した乳癌細胞に対して、小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンを処理した際の各分子経路の変化を調べた。その結果、PERKおよびATF6経路には変化は見られなかったのに対して、IRE1経路に異常が生じていることが確認された。そこで、IRE1がBCGT1により糖鎖修飾を受けているか明らかにするために、IRE1抗体を用いて内在性IRE1を免疫沈降し、糖鎖を特異的に認識するレクチンによりIRE1の糖鎖修飾を確認したところ、IRE1は糖鎖修飾されていることが認められた。さらに、この糖鎖修飾がsiRNA処理によりBCGT1の発現を抑制した際に低下したことから、IRE1はBCGT1により糖鎖修飾されていることが示された。以上のことから、乳癌細胞において、BCGT1はIRE1を糖鎖修飾することにより、IRE1の機能を正に制御し、癌細胞の増殖や生存に重要な小胞体シャペロン分子の発現を調節していることを明らかになった。
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Research Products
(7 results)