2012 Fiscal Year Annual Research Report
レプチンが大腸発がんに与える作用およびその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
23790374
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
遠藤 宏樹 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70468164)
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Keywords | 大腸発癌 / レプチン |
Research Abstract |
我が国では食生活の欧米化に伴い大腸がんが増加しており、本疾患が国民生活に与える影響は極めて高くその対策は急務であるが、どのような機序で発がんを促進するのかの詳細はわかっていない。今回の研究ではレプチンの発がん促進へ関与、さらに腫瘍成長にレプチン受容体を介したSTAT3経路が必須であるという機序を明らかにした。食餌性に高レプチン血症をきたすマウス(高脂肪食摂取ワイルドタイプマウス)を用いた大腸発がん実験で、高レプチン血症をきたさないマウス(普通食摂取ワイルタイプマウス)と比べ有意に多数かつ大きな腫瘍を形成し、腺腫のみならず腺癌が形成されることを確認し、さらにレプチン欠損マウスを用いた発がん実験ではマウスは高度な肥満状態を呈するにも関わらず腫瘍は発生するものの非常に微小であることを発見した。このことからレプチンが腫瘍発生ではなく増大に関与していることを証明した。レプチン受容体欠損マウスでも同様に腫瘍形成の顕著な抑制を認め、上記現象がレプチン受容体を介するものであることを確認した。これらを消化器分野の一流ジャーナルGut誌に報告した。さらにレプチン受容体腸管コンディショナルノックアウト(CKO)マウスを用いて発がん実験を施行し、CKOマウスでも腫瘍の増大が抑制されていることを確認した。これはレプチンの全身への作用を除外した腸管への直接作用を確認した点で非常に重要性の高い結果であるといえる。さらにSTAT3についても腸管CKOの発がん実験でも腫瘍増大が抑制されていることを確認した。また腫瘍増大におけるレプチン受容体-STAT3経路の関与を明らかにするため、大腸癌培養細胞のレプチン受容体をノックアウトして、レプチン投与によりSTAT3の活性が抑制されることを確認した。大腸発癌の腫瘍発生の次の過程でレプチン-STAT3経路が腫瘍増大に関与するという全く新しい機序を世界で初めて実証した。
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Research Products
(11 results)