2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアユビキチンリガーゼによる酸化タンパク質排除機構と神経変性疾患
Project/Area Number |
23790380
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
與那城 亮 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (60453809)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
|
Keywords | ユビキチン / ミトコンドリア / 神経変性疾患 / 活性酸素 / 一酸化窒素 / タンパク質分解 / 品質管理 / ニトロ化 |
Research Abstract |
私たちはミトコンドリア外膜に局在する膜型ユビキチンリガーゼ、MITOLを同定しか。MITOLの生理的役割を解明するため、酵母two-hybrid法を用いて会合タンパク質の探索を行ったところ、微小管関連タンパク質MAP1B-LC1(以下LC1)を同定した。これまでにMITOLノックダウン細胞において微小管の安定性が亢進し、ミトコンドリアの動きが抑制されることが観察されていたので、私たちはMITOLとLC1との関連性を検討した。結果、MITOLはLC1と直接会合し、ミトコンドリア上で特異的にユビキチン化することを明らかにした。 続いて私たちはLC1が微小管で機能する際に、一酸化窒素による修飾(S-ニトロ化)を受けることに着目した。興味深いことに、MITOLはS-ニトロ化LC1を特異的に認識、ユビキチン化するという、新しいタンパク質分解制御機構があることを明らかにした。 続いてLC1の蓄積が神経変性疾患に関与しているという報告からMITOLの機能不全によってLC1が蓄積、神経細胞死が引きおこる可能性を検討した。In uteroエレクトロポレーション法を用いてマウス胎児脳の神経細胞移動を観察したところ、MITOLノックダウンによって神経細胞移動が抑制されること、その抑制がLC1ノックダウンで回避されることを明らかにした。更にマウス大脳皮質初代培養細胞でLC1の毒性がMITOLノックダウン細胞で亢進することから、MITOLは過剰なLC1の排除機構に関与し、その破綻は神経細胞死を引きおこすことがわかった。 以上の結果から私たちは新しいタンパク質分解制御機構を明らかにし、活性酸素種によるミトコンドリア毒性およびその防御機構の存在を本研究で明らかにした。
|