2012 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるがん抑制遺伝子CADM1によるSrc経路の抑制機構の解析
Project/Area Number |
23790391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 裕見 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (80584226)
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Keywords | 大腸癌 / CADM1 |
Research Abstract |
免疫グロブリンスーパーファミリー細胞接着分子群に属するCADM1は、がん抑制遺伝子としてがんの進展を抑制するのみならず、ATLの浸潤、精子形成や神経-マスト細胞接着を介するなど、多様な機能をもつ分子であるが、その生理的機能や下流分子経路については未だ解明されてはいない。申請者らは、CADM1の細胞内結合タンパク質を免疫沈降・質量分析法を用いて探索した結果、細胞膜ラフトに局在するアダプター分子であるCbpを見出した。Cbpは、細胞膜ラフトにc-Srcをリクルートすることによりc-Srcの不活性化を促進し、c-Srcによる腫瘍形成を抑制することが報告されている。c-Srcが大腸癌においてしばしば活性化していることから、大腸癌においてCADM1がCbpとの複合体形成を介してc-Src経路を抑制するか否か、及びその分子経路の解明を目指した。 ショ糖密度勾配遠心法により、CADM1が細胞膜ラフトに局在し、Cbp及びc-Srcと複合体を形成することを見出した。また、大腸癌細胞株を用いてc-Srcの活性化を比較した結果、CADM1及びCbpを恒常発現した細胞ではc-Srcが不活性化されていることが明らかとなった。一方、siRNA導入によりCADM1・Cbpの発現をそれぞれ抑制した結果、c-Srcの活性化が増強された。また、ヌードマウスへの皮下移植実験の結果、CADM1・Cbp共発現細胞ではCbp単独発現細胞と比較して腫瘍形成抑制効果が増強されることが示された。以上の結果から、CADM1が細胞膜ラフトにおいてCbp及びc-Srcと複合体を形成することによりc-Srcの不活性化を促進し、c-Srcを介した腫瘍形成を抑制することが示唆された。
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