2012 Fiscal Year Annual Research Report
透析アミロイドーシスにおける骨・関節破壊機構の解明
Project/Area Number |
23790393
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大越 忠和 福井大学, 医学部, 助教 (90362037)
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Keywords | アミロイドーシス / 細胞毒性 / β2ミクログロブリン / 血液透析 |
Research Abstract |
透析アミロイドーシスでは、β2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイドが主に関節、腱組織に沈着し、手根管症候群、破壊性脊椎関節症などの全身関節症状を引き起こす。しかしながら、β2-mアミロイド線維の沈着が骨・関節破壊を引き起こすメカニズムは未だ明らかになっていない。本研究は、試験管内で形成したアミロイド線維と培養細胞を用い、透析アミロイドーシスにおいてβ2-mアミロイド線維の沈着が骨・関節破壊を引き起こすメカニズムを明らかにすることを目的とした。 ウサギ滑膜線維芽細胞(HIG-82細胞)をβ2-mアミロイド線維を100ug/ml含む培養液でインキュベーションすると、モノマー(100ug/ml)添加群、及びコントロール群と比較して、LDH release assay、MTT reduction assayのいずれの方法でも有意にviabilityが低下した。光学顕微鏡で観察すると、アミロイド線維を添加した群では、生細胞は少なく、核濃縮や細胞質の膨化、空胞化などの壊死性の変化がみられると共に、アポトーシス小体と考えられる核の断片化も認められた。最終年度には、DAPI/TUNEL二重染色による検討を行い、アミロイド線維投与群で陰性対照、及びモノマー投与群に比して多くのアポトーシスが起こっていることを明らかにした。また、Congo-red染色を行い、アミロイド線維が細胞表面に付着していることを確認した。 β2-mアミロイド線維は細胞表面に付着し、壊死及びアポトーシスの両者を引き起こすことで毒性を発揮すると考えられた。本研究の結果は、β2-mアミロイド沈着による骨・関節破壊の病態に、β2-mアミロイド線維による直接の細胞傷害効果が関与している可能性を示唆している。
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Research Products
(2 results)