2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変ウサギモデルによる動脈プラーク破綻におけるMMP-9の役割の解析
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23790395
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
康 徳東 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00571952)
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Keywords | MMP-9 / 動脈硬化 / ウサギ |
Research Abstract |
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9の動脈硬化の発生・進展における役割を明らかにする目的で、MMP-9を過剰発現するトランスジェニックウサギの作製とそれを用いた動脈硬化実験を計画した。 初年度では、申請時に既に作製されていた1羽のfounderウサギの他に、発現量の異なる複数系統を開発する目的でマイクロインジェクションを行い、新たに1羽のfounderウサギの開発に成功した。2羽のfounderウサギを元に、2系統のMMP-9トランスジェニック(Tg)ウサギを確立するため、我々が開発したウサギの人工授精法を駆使して繁殖を行い、F2~3世代までのMMP-9遺伝子導入ウサギの誕生に成功した。これらの2系統にて、遺伝子導入から特異的発現、機能的蛋白発現までを解明すべく、各系統のウサギよりマクロファージなど体内の各種臓器を網羅的に採取し、southern blotting, northern blotting, western blottingならびにgelatin zymographyを行った。その結果、MMP-9遺伝子の染色体への組み込みと、スカベンジャー受容体プロモーターによるマクロファージ特異的MMP-9 mRNA・蛋白発現、ならびに、遺伝子非導入同腹ウサギと比較しMMP-9酵素活性が著明に増大していることを明らかにした。 これらの確立された2系統を用いて人工受精法により繁殖を行い、6ヶ月齢のTgウサギ(14羽)と同腹のnon-Tgウサギ(9羽)にコレステロール添加食餌を16週負荷した。現在、動脈硬化の広がりおよび病変の脆弱性を解析しながら、6ヶ月齢のTgウサギと同腹ウサギに0.8%までのコレステロール添加食餌を28週負荷する実験を追加している。今後は、MMP-9・Tg WHHLMIウサギの作成し、産子3ヶ月になった時点で、動脈硬化実験を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、平成23年度繁殖された6ヶ月齢のMMP-9・Tgウサギ(オス:7羽)と同腹のnon-Tgウサギ(オス:6羽)に 0.3%コレステロール添加食、および6ヶ月齢のMMP-9・Tgウサギ(メス:7羽)と同腹のnon-Tgウサギ(メス:3羽)に 1%コレステロール添加食を16週間投与し、高脂血症を誘導することは成功した。 画像解析による大動脈病変のマクロ面積、内膜肥厚面積および動脈硬化病巣内における細胞成分の変化は各群の間に有意な差が認められなかったが、non-Tg ウサギ群より、MMP-9・Tgウサギ群は著明なマクロファージ浸潤している中膜病変が確認された。 動脈病変の形成および病変の脆弱性を再検討するため、0.8%までのコレステロール添加食餌を28週負荷する実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
6ヶ月齢のTgウサギと同腹のnon-Tgウサギに0.8%までのコレステロール添加食餌を28週投与し、高脂血症ならびに動脈硬化を引き起こすことにより、MMP-9の過剰発現の有無が動脈病変の形成及び病変の脆弱性に及ぼす影響を検討する。 また、当初の計画にそって、MMP-9・Tgウサギを、重度の冠状動脈硬化と心筋梗塞を自然発症するWHHLMIウサギと交配させることにより、WHHLMIウサギにMMP-9を過剰発現させたモデル動物の開発も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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