2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変ウサギモデルによる動脈プラーク破綻におけるMMP-9の役割の解析
Project/Area Number |
23790395
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
康 徳東 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00571952)
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Keywords | MMP-9 / 動脈硬化 / ウサギ |
Research Abstract |
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は金属依存性の細胞外マトリックス分解酵素であり、近年、マクロファージから分泌されるMMPの高発現と動脈硬化の発生・進展の関与が示唆されている。特に、マクロファージ由来のMMPが粥状動脈硬化のプラーク被膜における細胞外基質を分解することはその重要性を注目されている。研究代表者の研究室では、これまでにマクロファージ由来のMMP-9の発現とウサギ大動脈硬化の発生・進展との関係を明らかにしてきた。本研究の目的はマクロファージで特異的に発現するMMP-9トランスジェニックウサギを作成し、これらを用いて動脈硬化プラークの破綻および動脈の進展に及ぼすMMP-9の影響を検討することにある。マクロファージスカベンジャー受容体プロモーターを用いてマクロファージ特異的にMMP-9を過剰発現する発現ベクターを構築し、我々が開発したウサギの人工授精法を駆使して繁殖を行い、F2~3世代までのMMP-9遺伝子導入ウサギの誕生に成功した。これらの2系統にて、各系統のウサギよりマクロファージなど体内の各種臓器を網羅的に採取し、mRNA,cDNAおよび蛋白分析の結果により、マクロファージ特異的MMP-9 mRNA・蛋白発現は遺伝子非導入同腹ウサギと比較しMMP-9酵素活性が著明に増大していることを明らかにした。これらの確立された2系統を用いて人工受精法により繁殖を行い、6ヶ月齢のTgウサギと同腹ウサギに0.8%までのコレステロール添加食餌を16週と28週負荷し、動脈硬化の形成程度を比較した。Tgウサギでは大動脈硬化の広がりが正常ウサギより強く、画像解析による大動脈病変のマクロ面積および中膜面積の変化は両群に有意な差が認められた。また、内膜肥厚面積、動脈硬化病巣内における細胞成分の変化を含め、動脈硬化発生・進展に及ぼすMMP-9の影響に関しては、現在詳細に病理学・分子生物学的解析中である。
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