2012 Fiscal Year Annual Research Report
高感受性個体に発生する腫瘍性疾患を対象としたゲノム不安定性の検出法確立と解析
Project/Area Number |
23790396
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
華表 友暁 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40416665)
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Keywords | 腫瘍 / ゲノム解析 / トランスポゾン / HERV / 挿入多型 / 肺腺がん |
Research Abstract |
高感受性個体に発生する腫瘍性疾患を対象としたゲノム不安定性を検出する方法として、レトロトランスポゾンであるヒト内在性レトロウイルス(HERV)を標的としたinverse PCRを開発した。HERVには転写活性調節機能を持つLTR(long terminal repeat)領域が両端にあり、LTR領域単独でヒトゲノム上に多数存在することが知られている。今回、開発した手法を用いて肺癌組織から抽出したゲノムDNAを分析したところ、データベース上にないLTR挿入部位を1p13.2及び19q12領域において同定することができた。これら二箇所の新規LTR挿入部位は、同一個体の非腫瘍部及び他個体にも検出されたことから挿入多型であるといえる。 これら二箇所の新規LTR挿入多型の遺伝子型について、両アリルに挿入がある場合(LTR/LTR)とそれ以外の場合(PRE/PRE+PRE/LTR)の二つに分類し、60歳以上の肺癌患者を対象にした症例対照研究を実施した結果、対照群(喫煙歴及び肺癌罹患歴のない女性)と比較して喫煙歴のない女性肺腺癌患者に1p13.2領域のLTR/LTR型が有意に多かった(オッズ比1.97、95%信頼区間1.01-3.81)。さらに喫煙歴のない女性肺腺癌患者についての追加症例対照研究でも有意差はなかったものの同様の傾向を示す結果が得られた(60歳以上、オッズ比2.03 、95%信頼区間0.96-4.29)。その一方で60歳未満については全く反対、即ち喫煙歴のない女性肺腺癌患者にLTR/LTR型が少ないという結果となった(オッズ比0.31、95%信頼区間0.11-0.94)。 女性肺腺癌に対しては年齢層によって異なるリスクを示すという興味深い結果となったが、今後LTR領域に起こるエピジェネティックな作用に着目してその要因を探索していく必要があると考える。
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Research Products
(3 results)