2011 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍幹細胞を規定する因子に基づく悪性リンパ腫の解析
Project/Area Number |
23790397
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 純一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20379176)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 癌 / 悪性リンパ腫 / 病理学 / 腫瘍幹細胞 |
Research Abstract |
悪性リンパ腫における腫瘍幹細胞としての役割をもつ細胞を同定するためには,リンパ腫細胞からマーカーを利用してソートされた細胞をNOD/Scidマウスに移植する必要があり,そのためには腫瘍幹細胞マーカーを検索しなければならない.本年度は,悪性リンパ腫の一組織型であるホジキンリンパ腫の細胞株について,種々の腫瘍において腫瘍幹細胞を多く含むとされている,アルデヒド脱水素酵素 (ALDH) 活性や活性酸素 (ROS) 除去能について検討した.これまでにホジキンリンパ腫細胞において,小型単核細胞は大型多核細胞に比べて腫瘍形成能が高いことがin vitro colony形成能およびNOD/Scidマウスへの移植により確認されているが,小型単核細胞群は大型多核細胞群と比較して高いROS除去能とin vitro colony形成能,造腫瘍能を示すこと,ROS除去には転写因子であるFoxO3aが関与していることを示した.高いROS除去能をもつ細胞群ではALDH活性も高く,ALDH活性が高い細胞群は低い細胞群と比較して高いin vitro colony形成能,造腫瘍能を示すことが明らかとなり,ホジキンリンパ腫の腫瘍形成においてROS除去能力が高く,ALDH活性の高い一群の小型単核細胞が腫瘍幹細胞としての役割を担っている可能性を示した.以上より悪性リンパ腫においても腫瘍内に腫瘍形成能を有する一群の細胞が存在することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホジキンリンパ腫の細胞株について,種々の腫瘍において腫瘍幹細胞を多く含むとされている,アルデヒド脱水素酵素 (ALDH) 活性や活性酸素 (ROS) 除去能について検討し,悪性リンパ腫においても腫瘍内に腫瘍形成能を有する一群の細胞が存在することを示唆する結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はホジキンリンパ腫の細胞株について,種々の腫瘍において腫瘍幹細胞を多く含むとされている,アルデヒド脱水素酵素 (ALDH) 活性や活性酸素 (ROS) 除去能について検討し,ALDH1-high画分,ROS-low画分の細胞で腫瘍形成能が高いことを示した.次年度では,さらに腫瘍形成能が高い画分と低い画分でそれぞれ単離した細胞からmRNAを精製しcDNAを合成後,マイクロアレイにかけて,その発現に差のある遺伝子を検索する.また,臨床検体を用いて病理組織学的に検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込み額と執行額は異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め当初予定通りに計画を進めていく.具体的には,消耗品,情報収集あるいは成果発表のための国内旅費,複写費,研究成果発表費用(投稿料)に用いる予定である.
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Research Products
(10 results)