2012 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍幹細胞を規定する因子に基づく悪性リンパ腫の解析
Project/Area Number |
23790397
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 純一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20379176)
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Keywords | 癌 / 悪性リンパ腫 / 腫瘍幹細胞 / 病理学 |
Research Abstract |
悪性リンパ腫における腫瘍幹細胞としての役割をもつ細胞を同定するためには,リンパ腫細胞からマーカーを利用してソートされた細胞をNOD/Scidマウスに移植する必要があり,そのためには腫瘍幹細胞マーカーを検索しなければならない.昨年度はホジキンリンパ腫の細胞株について,種々の腫瘍において腫瘍幹細胞を多く含むとされている,アルデヒド脱水素酵素 (ALDH) 活性や活性酸素 (ROS) 除去能について検討し,ALDH1-high画分,ROS-low画分の細胞で腫瘍形成能が高いことを示した.本年度では,さらに腫瘍形成能が高い画分と低い画分でそれぞれ単離した細胞からmRNAを精製しcDNAを合成後,マイクロアレイにかけて,その発現に差のある遺伝子を検索した.その結果,腫瘍形成能が低い画分において,pregnancy-specific β-1 glycoprotein(PSG) familyの発現が比較的高いことが分かった.ホジキンリンパ腫細胞において腫瘍形成能の高い小型単核細胞にインスリンを加えることによって腫瘍形成能の低い大型多核細胞を生み出すことができるが,その際にPSGの発現が亢進することがわかった.PSG familyは妊娠の維持に重要なタンパクであるが,DNA複製に伴う老化に関係していることが報告されており,腫瘍細胞の老化に関係している可能性がある.また,腫瘍幹細胞を多く含むとされている活性酸素 (ROS) 除去に有用な転写因子であるFoxO3aについて臨床検体を用いて病理組織学的に検討を行ったところ,ホジキンリンパ腫では非ホジキンリンパ腫に比べ腫瘍細胞のFoxO3a陽性率が高いことがわかり,ホジキンリンパ腫において腫瘍幹細胞の維持に寄与している可能性が示唆された.
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Research Products
(11 results)